ネクロニカ『Hello World-ハロー ワールド-』の呟きあれこれ。ネタバレ含みますので、未通過の方はご遠慮ください。
今思えば、シュナイダーの苔むした尻尾は意味のあることだったんだな、と。
+クソデカ感情。
【しびとだけ】乗せよう→きのこ生えているんだから苔ぐらい生えるだろう→白い尻尾を彩る青いきのこと緑の苔イイネ!
ぐらいの気持ちだったのに……目を覚ましたら何十年、あるいは百年経過していた……
割と真面目に「何てことだ」してました。
本当に「苔が生えるような長い時間、そこで眠っていた」でした。
何てことだ……。
という訳で、つらつら徒然なるままに、考察ともいえない妄想とか運命の悪戯とかそういう感想やら何やら。
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■アンデッドのシュナイダー
思ってみれば、めちゃくちゃ設定拾ってもらってましたね。
拘束衣を着ていた理由はおそらく、眠りに就く前は研究所にいたこと。
ネクロマンサー(エニシさん)の側にいる限りは自由にしていられたんでしょうけど、研究所ではおそらくドールとして研究のサンプルなり献体なりという存在だったはずなので。
いつでも拘束できるように拘束衣。
エニシさんが他の研究員から「そんな風に気軽にサンプルを出歩かせるんじゃない」と叱られていたら大変に草。
もしかすると、かつてはもっとベルトもちゃんと機能していて、しっかり縛り付けられているシュナイダーがいたのかもしれない。
エニシさんの性格からして、ぽいぽいっと外されてそうですけど。
やたらめったらシザーハンズ(+切断)が活躍していたので、元々はそういう戦闘用のアンデッドだったのかもしれない。
というか、戦闘用アンデッドをデザインする過程で作られたのがシュナイダーかもしれない。
ここから【再生】や【業躯】を取って耐久性特化になるもよし。
【悪食】【舌なめずり】を取って「おまえ 絶対 逃がさない」な攻撃特化になるもよし。
そんな感じで、めちゃくちゃ……嫌な感じの生物兵器感あるんですよね……。
とはいえ、本人がそういう性格してないのと、エニシさんの件があるので、そうはなりませんが。
シュナイダーはのんびりじっくりネクロニカの世界を生きていくことでしょう。
ツンデレな性格はおそらく、対エニシさん専用。
一度死んで、アンデッドとして目覚めた時、やけに好意的に絡んでくるエニシさんに「何だこいつうざい」と感じたのが始まり。
当時のシュナイダーは何も覚えてなかったので、エニシさんの好意も執着も理解ができない。
割と本気でうっとうしいと思ってた。ただ、嫌いではない。
片付けが下手なエニシさんに「何してるんだ」「少しはちゃんとしろ」
写真撮って来るエニシさんに「撮るな」「にやにやするな」「楽しいか?」
食事の時まで構って来るエニシさんに「俺には本来食事は必要ないんだろ」「はしゃぐな」「静かにしろ」
……等々、つんけんした態度で接するし、眉を顰めることはあれど、「俺はお前が嫌いだ」は一言も言ったことがない。思ったこともないので、嘘でも言わない。
むしろ、一度完全にイラッとして、
「お前は俺が好きなのか?」
とエニシさんを試してみたら
「大好きだよ!!」
と全力の肯定が返ってきたので、びっくり+困惑+戸惑いでぽかんとしていたことがありそう。
照れくさくなって余計にツンが加速した。
その上で、「俺に執着しているから、こいつはこんなんなのかな」と考えて、いっそ突き放してみれば多少は改善されるか?と考えてツンでいるけど、まったくもって意味がないので更に困惑している。
結果的に、ツンでいても効果がないことはわかったけど、今更デレることもできず、デレたところで何も変わりそうにないのでツンデレしてた。
薄々だけど、シュナイダー本人も「シュナイダーがいるからこいつは駄目になっているし、シュナイダーがいなくても駄目になりそう」と勘付いていた。
一生こいつに付き合わされてツンデレすることになるんだろうな……と当時のシュナイダーは思っていたかもしれない。
でも、そうはならなかった。そうはならなかったんだよ(自ら傷を抉っていくスタイル)
シュナイダー本人に「ネクロマンサーのこと好き?」と問いかけると、「嫌いではない。だが、好きだというにはあいつが不可解過ぎる」と返って来る。
それもうほぼ大好きの意味やで。
ちなみに、髪の右側がツンツンしているのはアレ、寝ぐせです。
ぼっさぼさ。
ちゃんと直したら真っ直ぐになるんですけど、シザーハンズがそこまで頑張れないのと、当人があんまり気にしないので直らない。
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■生前のシュナイダー
【戦火】によって故郷を失い、エニシさんに拾われた……のだと思っています。
記憶のカケラ【のばされた手】の中で「死を待つしかない」とあるように、この時のシュナイダーはかなりの怪我を負っていて、エニシさんに助けてもらわないと命を落としていたのでしょう。
【買い物】に行った際に、エニシさんと一緒に出掛けて、たからものである【眼鏡】を買ったのかもしれない……という話をしていましたが、視力が落ちた原因も戦火にあるのかも?
記憶のカケラ【掴みたかった手】の中で「その手を掴む手は君には残されていなかった」ともあるし、もしかすると生前から両腕(あるいは片腕)が欠損していたのかも。
障害として残るような傷を負ったせいで一人で外出することもできず、結果、エニシさんに付き添ってもらっていたのかもしれない。
当時は同年代(同い年?)で、似た年頃なのもあって心を許したのでしょう。
笑ったり泣いたりできたのもエニシさんのおかげ。
喧嘩して仲直りして、共に歩む、変わらない日常を願った相手。
大切に想ってくれることを喜んで、きっとシュナイダーもエニシさんのことを想っていた。
生前のシュナイダーは多分、エニシさんのことが好きだったと思います。
ただ、エニシさんと手を繋ぐこともできないし、抱きしめ返すことも満足にできない身体で、何よりも障害があるせいで自分の寿命が長くないことも理解したんじゃないかな……。
だからきっと「好き」とは言えなかった。
恋心は秘めたまま、あの世に持って行っちゃったタイプの奴ですね。
【眼鏡】がシュナイダーにとってのたからものになったのは、「二人で一緒に買いに行った」という想い出の品であるから。
それと、「眼鏡があるとエニシの顔がよく見える」から、宝物になったんだと思います。
好きな人の顔はね、ちゃんと見たいよね。
アンデッドのシュナイダーがたからものとして【眼鏡】をかけているのも、アンデッドとしては別に眼鏡なんて必要ない(そんなものがなくても視力はきちんと機能している)けど、「眼鏡を通してあいつを見ていた」「眼鏡を通してみる世界は、あいつがくれた」という感覚が残っているからでしょう。
もしかすると、アンデッドとして目覚めた時の(眼鏡をかけていない)シュナイダーは今よりもっとぼんやりとしていて、自我も個人の意識も薄弱だったけど、ネクロマンサーに【眼鏡】を与えられた時にやっと「シュナイダーらしく」動き出したのかもしれない。
それこそ、人間相手なんて「誰も同じように見える」とばかりにふやけた認識をしていたけど、眼鏡を通してネクロマンサーを見た時に、初めてエニシさんに目の焦点が合って、「……あんた、誰だ?」と興味を持って話しかけたとか。
そういう感じのことを考察(妄想)して、ニチャア……と笑みを浮かべています。
話し逸れたわ。
生前のシュナイダーは、現在のアンデッドのシュナイダーに比べて、もうちょっと苛烈な性格していたと思います。
じめっとした暗さもあるけど、療養中のリハビリで「くそが!!!!!!」って言いながら絶対にリハビリ辞めないタイプ。
たまにベッドに寝転がって「俺は無力だ……」ときのこ生やしてる(比喩)けど、毎日地道にリハビリして、絶対に自分の足で歩くことを止めないタイプ。
エニシさんと喧嘩すると絶対に譲らない態度で「謝って済むか!そういうところ直せって言ってるだろ!」とねちっこく文句言って来るけど、エニシさんの隣からは離れないタイプ。
生前の方はもしかすると、シュナイダーの方がエニシさんに構って、後ろを付いて回っていたのかもしれない。
死んだ理由は、やっぱり【戦火】の後遺症か、寿命が尽きたのかなと思います。
享年16歳。
もっと生きたかったけど、生きられるだけの体力が残されていなかった。
死の間際、エニシさんの言葉を聴きながら、何を考えていたんだろうなあ。
多分、「俺だって死にたくない。生きていたい。生きたい」と思っていたかな。
でも、同じくらい「だからといって、お前が俺のことを引き摺ることはない」と怒っていたかな。
「許さない。俺のことを想って泣くお前を許さない。俺に執着して、一生を使い潰すだろうお前のことを許さない。俺に構うお前を許さない」
「忘れてしまえ。お前の方こそ俺のことを忘れてしまえ。いいや、忘れないのなら俺が忘れてやろう。お前のことを覚えていない俺に落胆して、失望して、俺のことなんか手放してしまえ」
「恨み続けてやる。俺を死なせてくれなかったお前を。お前よりも先に死んだ俺自身を。二度とお前のことなんか好きにならない。好きになったら、それ以上に俺を好きになってくれるお前のことなんか、二度と愛さない」
……そういう、呪いの言葉が思い浮かんだのですが。
シュナイダーのツンデレの原因って、これか?
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■【Hello World】のシュナイダーとコールくん。
実のところ、コールくんを見た時に「彼が記憶にある誰かさんか?」と疑っていたんですよね。
実際はそんなことなかった(創造主と被造物の関係、顔が似ているだけ)んですけど。
ただ、このあたり。
シュナイダーが当初、未練をダイスロールした時に【憧憬】が出て。
憧憬の発狂内容って「贋作妄想」で。
要は、発狂すると「お前はあいつじゃない!お前は偽物だろう!」という風に気が狂う未練なんですけど。
その後の対話判定で大成功を出して、スッ……と【信頼】に変わったのも、シュナイダー当人が
「……こいつ(コール)はあいつ(エニシ)じゃないな?」
と気付いた感ありますね。
確かな記憶もないですし、この時は名前も思い出してないですし、認識ふわっふわなんですけど。
直感できちんと区別をつけていたシュナイダー。
愛(重)ですね。
正直なところ、エニシさんには絶対、未練:信頼は取らないです。
シュナイダーのために自分を大事にしないエニシさんに対する信頼なんてミリもないですし。
クレイドルに一人だけ放り込まれた事実もありますし。
ネクロマンサーとアンデッドの関係の頃に、名前を教えてもらえなかったり、よく分からないまま一方的に大事にされたこともありますし。
好意はないこともないけど、信頼は……しないなあ。
それに対して、コールくん。
出会った当初に助けられた事実もありますし、「嘘をつくつもりはない」と言ってもらえたこともあるので。
味方宣言を素直に受け入れて、とりあえず信じてみようっていう姿勢でしたね。
裏切ったら全力でシバくからな……(このあたり性格悪い)という思考もあったんですけど、本当に最初から最後まで味方でいてくれたので。
そういう意味でも信頼。
あと、「嘘をつくならつけばいい。これほど嘘をついて騙しやすい相手もいないだろう(うろ覚え)」みたいなことを言ったのも、わりとコールくんを試した台詞で。
これを言っている時点で相手を信用していないことが丸出しなんですけど、あまりにもコールくんの返答が素直だったので信じちゃいましたね。
「(すぐに起こすこともできるけど)記憶がないまま目覚めさせるのはフェアじゃない」
「だから君に決めて欲しかった」
そんな風に、選択肢を与えてくれた誠実さを、シュナイダーは好意的に見ていたので。
シュナイダー本人に「コールくんのこと好き?」と問いかけると、「好きだ」とにこにこ笑顔で返って来る。
めっちゃくちゃ好きやん。
コールくんを残して目覚めることは、正直に言えばとても惜しかったし、心残りではありました。
ここまで尽くしてくれた彼に対して、遺せるものも、返せるものも、シュナイダーは持っていなかったので。
「ありがとう」と「さよなら」を伝えることが精一杯です。
まあでも、目覚めること自体がコールくんにとって報いになることなら、胸を張って歩いていくことがせめてものお返しかな……。
結果的に、コールくんとバクとクレイドルには色んな意味で救われたなと思っています。
そもそも、クレイドルに入れられる直前でシュナイダーは目の前でエニシさんを殺されている訳ですし。
クレイドルに入った瞬間のシュナイダーの感情といえば、それこそ怒りと憎悪と悲痛でいっぱいだったでしょう。
幸せだった記憶も、穏やかに過ごした思い出も全部、塗り潰されてしまうぐらい。
あの時点でシュナイダーの自我が壊れていた、傷付いていたことは無きにしも非ず。
バクに食べてもらわなければ、シュナイダーが抱えていくには辛すぎる記憶や感情もあったはずなので。
【よくない記憶】という形で、自らに起きた悲劇を客観視して受け入れていく過程があったことは、シュナイダーにとって良いことだったと思うのです。
……そういう意味でも、クレイドルで出会ったコールくんのことはとても好いています。
良い友人だったと認識しています。
あと多分、シュナイダーはコールくんの見た目にはあまり頓着してなさそう。
「よく似てたなあ」ぐらい。
そもそも、PLがコールくんとネクロマンサーが似ているのは、「AI(コール)はドールと最も親しい人間の姿を借りている」「ドールの深層心理が投影されて、その姿に成る」ものかと思っていたんですね。
ネクロマンサーが創造主だから、自分をモデルにしたからと聴いて納得しました。なるほど。
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■その後のシュナイダー
エニシさんのお墓を作ったことですし、頭蓋骨を安全に持ち運ぶ手段(鞄なり何なり)を見つけたら、研究所を出ていくと思います。
「どこでもいいから、どこまで行けるか試してみたい」
「宛てもなく、ただ行けるところまで行ってみたい」
そんな感じで、好奇心に任せて、えっちらおっちら歩いていくと思います。
記憶のカケラ【ゆくさき】で、あの人が行きたいと言っていた場所を思い出せていたらその場所に向かったんでしょうけど、そうじゃなかったので。
「本当に自分はどこへでも行けるのだろうか」と試すために、目的地もなく歩いていくと思います。
強いて言うなら、どこまでも歩いていくことが目的。
歩数と距離を稼げたらオッケー。
まあでも、ひとりきりは寂しいので。
寂しさに飲まれて、自分を慈しんでくれた人のことや、護ろうとしてくれた人の存在を忘れないために、頭蓋骨は持って行きます。
話しかける相手。
足を止めて休憩する時には膝に抱えて、ころころしたり撫でたりしながら、思い出したことや自分の見た景色の感想を話していると思います。
たまに「あんたも此処に居れば良かったのにな」とぼやいてる。
穴の開いた頭蓋骨を選んだのは「こいつは俺のせいで、俺のために死んだ」ことを忘れないためです。
頭に空いちゃった穴ごと、撒き散らされた血と脳みそごと、潰えた命ごと愛してる。
あんな最悪の死に方をした悲劇ごと愛してる。
そんでもって、いつか、その頭蓋骨すら壊れて砕かれてしまう時。
その時には一緒に死ねたらいいなー、とシュナイダーは考えているのでしょう。
ちなみに、お墓を作っていった理由。
シュナイダー本人がクレイドルで眠り続けている間、野晒しにされていたネクロマンサーの遺体を憐れんだからです。
「あれだけ必死に俺を助けようとしたあんたは、こうなったのか。こうなるしかなかったのか?」という憐憫です。
でも、遺体が骨だとしてもそこに残っていることに安心したんですよね。
肉体を敵方に持って行かれていた可能性もある訳ですし。
それを考えると野晒しだとしても、マシな結果だったのかなあ、と。
怒るのも悲しむのも今更過ぎて、涙を流すのもちょっと違う気がするし、でも何かはしたいし……と、気持ちの整理をつけるための埋葬でした。
あとは、「誰かに持って行かれるぐらいなら俺の手で始末をつけておこう」という意図ですね。
写真集とぬいぐるみを一緒に埋めたのは、「お前のものなんだからちゃんとあの世に持って行け」です。
朧気ながらも、シュナイダーの記憶にある分では、エニシさんがそれらを気に入っていたように思えるので。
放っておいてもいずれ風化して朽ちてしまうものでしょうけど、どうせ朽ちるなら同じ場所で同じ時を過ごして、共に土に還れ、という感じですね。
シュナイダーとエニシさんは望んでもそうなれなかったので。
思い出の品だけでも、一緒に在って、一緒に死んでほしい。
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■イメソン
・笹川美和「高鳴り」:生きていく方のシュナイダー
・宇多田ヒカル「Beautiful World」:一緒に死にたい方のシュナイダー
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