新キャラのアシュヴァッターマンくんってどんなヤツ?カルナアルジュナとどんな関係?って気になってる人の為に、彼と彼のお父さん視点で原典あらすじをまとめてみました
※あくまでわたしが知ってるマハバの話なので、詳細は諸説あります。
※妄想とか自己解釈も入ってると思う。
※物書きじゃないから文書読みづらかったらごめんなさい。
アシュヴァッターマンの父ドローナは、真面目で修行熱心なバラモンだった。
山にこもり日々鍛錬に勤しむドローナだったが、ある時クル族の少女クリピーと出会う。
クリピーはドローナに一目惚れし、彼と共にいるため、一緒になって同じ修行を行った。
最初は「足手まといな女だ」と思っていたドローナだったが、つらく厳しい修行に耐える彼女の熱心な気持ちに心を打たれ、妻として迎え入れることにした。
二人は苦行の末に神に祈りを届け、シヴァとダルマの神性を携えた元気な男の子を授かった。
しかし長年山籠りをしていた夫婦には蓄えがなく、生まれたばかりの息子を養うことが困難だった。
空腹に耐える我が子に見かねたドローナは、山を下って旧友のドルパダ王の元を訪ねることにした。
「子供に飲ませるミルクが欲しい。牛を一頭、昔のよしみで恵んではくれないか?」
かつて親友だったこのドルパダなら、当然快く承諾してくれるだろうとドローナは思っていた。
しかし、王が返したのは冷たい言葉だった。
「何がよしみだ。友情とは対等な者同士の間で結ばれてるものだろう。私は今や王となった。昔とは違う。お前のような見すぼらしい身なりの男が、この私と対等と言えるか?貴様などにくれてやる牛は一頭もない。今すぐ私の国から出て行け!」
友情を裏切られたドローナは、怒りと悲しみを胸にドルパダの王国から立ち去った。
幸いクリピーの親戚がクル族の王家であったので、その伝手を頼りに三人はクル族へ身を寄せることになった。
クル王(ドゥリーヨダナの父)は、ドローナが修行で培った武術を高く評価し、若者達の武術指南役を命じた。
ドルパダに裏切られた恨みを消し去れずにいたドローナは喜んでその役目を引き受け、「武術を仕込んだ若者達で自分の軍隊を作り、奴の国へ攻め入って復讐してやろう」と考えた。
彼の教え子の中には、王子ドゥリーヨダナやその従兄弟のアルジュナ兄弟、御者の家のカルナ、そして息子のアシュヴァッターマンなどがいた。
子供達は皆、互いに切磋琢磨し立派な戦士に育ったが、中でもアルジュナの類いまれなる集中力と弓の才能には眼を見張るものがあった。
「この子はいずれ最強の戦士になるだろう。」
ドローナはこの優秀な愛弟子に自分が持ち得る技術、知識、奥義の全てを授けることにした。
それを見たアシュヴァッターマンは、父親がアルジュナに取られてしまうのではないかと気が気ではなかった。
しかし何をやってもアルジュナには敵わず、彼の実力を認めて敬意を表するしかなかった。
優れた教え子達の働きにより、ドローナの復讐は果たされた。
ドルパダに一矢報いることができたドローナは満足し、彼の命まで奪おうとはしなかったが、屈辱を与えられたドルパダのドローナに対する恨みの念は、この後更なる復讐劇を生み出すことになってしまう。
やがて、ドゥリーヨダナをはじめとするカウラヴァ百王子と、アルジュナ達パーンドゥ五兄弟の間に決定的な亀裂が生じる。
クル族はカウラヴァ派とパーンダヴァ派に二分され、王位継承権を巡る争いが始まろうとしていた。
ドローナはドゥリーヨダナの父であるクル王に恩義を感じ、カウラヴァに付くことに決めた。
息子アシュヴァッターマンも父と同じ陣営に立つことにした。
しかしパーンドゥ五兄弟は、ドローナにとっては可愛い愛弟子。
アシュヴァッターマンにとっても、かつての学友であり幼馴染である。
出来ることなら彼らとの戦いを回避したかった親子は、何度もクル王やドゥリーヨダナに和平を進言した。
しかしその言葉は聞き届けられることなく、『クルクシェートラの戦い』は幕を開けてしまった。
戦いが始まって10日後、カウラヴァの総大将ビーシュマが倒れ、ドローナがその代役に任命された。
いくらパーンドゥ五兄弟が優れた戦士であっても、ドローナにとってはかつての教え子。
その手の内は全てお見通しだった。
ドローナにまったく歯が立たないパーンダヴァ陣営は、苦渋の思いである作戦を決行した。
それは息子アシュヴァッターマンの死を偽装し、動顛したドローナの隙を突いて倒すという卑怯極まりないものだった。
作戦通り、愛する息子が死んだと思い込んだドローナは、深い悲しみに暮れ放心状態となってしまった。
その隙をすかさず狙い、ドリシュタデュムナがドローナの首をはねた。
このドリシュタデュムナという男こそ、「ドローナを殺す」という宿命を持って生まれたドルパダの息子であった。
父の無残な最期を知ったアシュヴァッターマンは失望し、初めてパーンダヴァ陣営に対する怒りと殺意を明確にした。
「親父はアイツらが嘘を付くような奴らじゃないと信じていた。正義の心を持っていると疑わなかった。なのにどうして…どうしてだ!?」
凄惨な戦いは、やがて17日目を迎えた。
カルナがアルジュナに殺され、ドゥリーヨダナがビーマに足を砕かれた。
父親に続き、大切な友が次々と卑怯な手段で殺されていくのを目の当たりにしたアシュヴァッターマンの怒りは、いよいよ頂点に達していた。
「武士の誇りは地に落ちた。オレがどんな手を使ってでも奴らを皆殺しにしてやる。もはや手段は選ばない。お前らの仇、必ず取ってみせる…!」
ドゥリーヨダナの屍の前でそう誓った彼は、完全なる復讐の鬼と化した。
アシュヴァッターマンは自分の中の神性に呼び掛け、シヴァ神を召喚した。
「奴らを滅ぼす力が欲しい!その為の代償が必要なら、オレの全てを捧げる!これ以上失うものは何もない…何もかも、全部くれてやる!!」
シヴァはこの願いを聞き届け、アシュヴァッターマンに一振りの剣を授けた。
パーンダヴァ陣営が深い眠りに就いた頃、剣を手にしたアシュヴァッターマンは夜の闇に紛れて忍び込み、無抵抗の敵を次々と斬り殺した。
それはもはや戦いと呼べるものではなく、一方的な虐殺だった。
アルジュナの息子も殺した。父の仇ドリシュタデュムも殺した。
その場にいた者は、文字通り全て“皆殺し”にした。
しかしその中に、アルジュナ兄弟とクリシュナの姿はなかった。
ドゥリーヨダナを倒したアルジュナ達は、王都で待つクル王へ戦いの顛末を報告しに出かけていた。
老いたクル王はたいそう息子達の死を嘆き悲しんだが、敗北を素直に受け入れパーンドゥ五兄弟の王位継承権を認めてくれた。
これで戦いは終わった…
仲間を失った悲しみと敵を滅ぼした罪悪感で疲れ果てていた兄弟達は、安堵の表情を浮かべる。
しかしその時、とんでもない知らせが彼らの元に舞い込んで来た。
「残党アシュヴァッターマンによって、我が陣は…全滅した」
アルジュナは急いで陣営に帰還すべく馬を走らせた。
その途中、アシュヴァッターマンと出会った。
二人は目があった瞬間、全力で宝具を展開し、凄まじい力のぶつかり合いで世界が軋んだ。
『クルクシェートラの戦い』18日目の最終決戦。
アシュヴァッターマンは、『ブラフマシラーストラ』という宝具を取り出した。
その宝具は一度発動すれば周囲一帯の大地を滅ぼし、水を蒸発させ、二度と草木の生えない死の世界へ変えてしまうという恐ろしい力だった。
アルジュナもすぐさま同じ宝具を取り出してエネルギーを相殺させた。
アルジュナにとって、この戦いに意味などなかった。
目的は果たされ、戦争は終わったのだ。
もうこれ以上、復讐の連鎖を続けたくはない。
しかしこの大地を…世界を守る為に、アルジュナは怒り狂うアシュヴァッターマンを止めなければならなかった。
同じ力のぶつかり合いで相殺され、このままではらちがあかないと悟ったアシュヴァッターマン。
しかし彼は、この武器の収め方をドローナから教えられていなかった。
ここで、すぐ側から二人の戦いを見守っていた聖仙ヴィヤーサがおもむろに語りかけた。
「アシュヴァッターマンよ。ドローナはあえてお前に武器の収め方を教えなかった。収めれば、再び使用することが出来てしまうからだ。あの男はお前に、その滅びの力を何度も使って欲しくなかったのだろう。
一方、アルジュナは武器の収め方を教わっている。何故だかわかるか?アルジュナなら、世界の為にその力を行使するとわかっていたからだ。」
アシュヴァッターマンはその言葉を聞き、どうしようもない衝撃を受けた。
結局自分は、父親の信頼すら、アルジュナから勝ち取ることが出来なかったのか…
情に任せて力を振るう自分の矮小さを理解した。
何故アルジュナに敵わないのかも理解した。
何もかも理解した。
しかし、それでも…
「オレは、この怒りを止めることはできねぇ!!!!!!!」
収めることが出来ぬのなら、どこかにぶつけるしかない。
アシュヴァッターマンは『ブラフマシラーストラ』のエネルギーを集約させ、アルジュナの息子アビマニュの妻の腹に宿る小さな命に向けて解き放った。
せめてその血を根絶やしにしてやる…!
しかし、それを知ったヴィシュヌの化身クリシュナは怒り、アシュヴァッターマンに呪いを掛けた。
「3千年の苦痛を与える。傷を負い、病いを患い、孤独に苛まれようと、それら全てが3千年間癒えることなく、お前を蝕むだろう。例えお前がその苦しみから逃れる為に死を望もうとも、死すらお前に情けをかけることはない。」
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っていうのがわたしが読んだ原典のお話でした。
ドローナとアシュヴァッターマンに焦点を当てたマハーバーラタのほんの一部でしかないけれど、すごくドラマチックだしボリューミー…
FGOではどんな感じの設定になっているんだろう?
早く実装されて欲しいですね!
以下は、4章のネタバレですが…
神ジュナがぺぺからマスター権を奪った後、アシュが何度も何度もアルジュナに立ち向かったけど全然勝てなくて心が折れた…っていうのが、完全に原典の再現だなと思って、うおぅ…となりました。
「アルジュナなんぞに負けやがって…」ってカルナに怒っていたけど、あれ自分自身に対しても痛烈に思っていることだよね。