長くて重いので伏せときます。
譲が鈴子さんに本当に捨てられていたのではないか、という話。戸籍などについては素人なので話半分でお読みください。
まず、鈴子さんは、一面では「絶滅危惧種タイプの良いお母さん」だけど、一面では「3歳児を無人駅という安全確保ができない場所に放置・遺棄して逃走した人物」で、どちらも同じ人間の一側面。(3歳なんて聞き分け良く返事してても何やらかすかわからないし、大人なら簡単に攫える。捨てるにしても子どもの身の安全を第一にしたやり方選べよ…)
高3譲介にとっての「母親」は、前者の煮こごりみたいな存在であるべきなんだよね。自分が知っている「母親」の、幸せだったときの記憶のカケラだけを煮詰めたような。
逆に「子どもを遺棄する母親」「子どもに害を与える母親」への憎悪は、自分が遺棄された経験からきてる。
どちらも同じ人物の一側面から派生してるんだけど、相反する要素を切り落として純化したから、極端で歪んだ「母親」観を持つに至ったんだなと。ここまで前置き。
本題。テツは譲の術前に「本当は捨てられてなかった」って認識の上書きをしてくれたけど、これテツのブラフじゃないのか?という考察です。
「和久井譲介」が拾われた後につけられた名前ではなく出生時からの正確な本名で(これは捨てられた時に荷物に母子手帳が入ってたので子どもの身元は明らかだったと推察)、多分譲介は親権は母親だけど戸籍上は離婚時に父親の戸籍に入りっぱなし(単純に離婚しただけだとそうなるはず)。かつ、学校通ってるからちゃんと住民票移したりしてるはずなので、役所は譲介の正確な所在を把握してるし、現在地が出生時の戸籍に紐づいてる状況。
で、譲介の本籍地まで知ってて、譲介側の住民票移動が正確に行われてて、譲介が未成年で、自分が実の母親だったら、譲介の戸籍にアクセスするだけで現住所割り出せるから、譲介を探し出すのは割と楽勝のはずなんだよね。親の権利ってそれくらい強い。(実際身の回りで、親に知らせず転居したのに転居先に突然親が現れたケースを知っている)
あと、鈴子さんが譲介の親権停止されてるのが調査の障害になる可能性あるかもだけど、これも数ヶ月程度の放置じゃ親権停止なんて認められないようなので、退院直後に鈴子さんが動けば間に合う。(親権停止された状況で子の戸籍にアクセスできるのか?はわからないが、そもそも親権停止に至るまで年単位での放置が前提になる)
要するに、鈴子さんが退院後に本気で譲介を探したけど譲介は行方知れずだった、というストーリーの信憑性が低いんですよ。
鈴子さんは年単位で、自分が逃げることを最優先にして動いてる。そして、今の夫と出会ってからは、自分の生活を最優先にしてる。
譲介を本気で取り戻そうとしていない。だって足手まといだから。
譲介がどこにいるのか、思いを馳せることはあったでしょう。ただ、それが行動につながっていないだけで。
事実上、やっぱり譲介は、捨てられているんです。
で、テツがやったことは、鈴子さんの中では真実であったろう「必死で探したけれど行方知れずだった」というストーリーに乗っかった上で、2人の今後の接触を断ち、美しい思い出と徹くんの命を残して過去の真実には蓋をする、という処置なんですね。真実は、誰も幸せにならない話なので。
逆に譲介サイドからの鈴子さんの現在地の割り出しは、逃亡期には難しいでしょうが、入籍したら追えますね多分。譲介の未成年後見人だったら、そのあたりも楽にできるんじゃないかな?
あさひ学園から出たタイミングで、譲介の未成年後見人はテツと繋がりのある誰かになってるんじゃないかと思うので、調査しやすかったろうな。