妹尾ゆふ子 『翼の帰る処 番外編 (2) ことば使いと笑わない小鬼』、表題作、ファルバーン君が割とサバサバしてるキャラだったのが意外でした。もうちょっと悲壮感のあるキャラかと思ってたのに。詳細はふせったーで。
あまりまとまってないけど、表題作のとりあえずの感想。
「帝国に滅ぼされた都市国家アルハンの王子ファルバーンは、帝国の皇女ミムウェとアルハンの廃墟・地下迷宮を訪れることになるが…!?」という紹介文を読んで、もしや妹尾版のWizardryが始まるのかと思いましたが、そんなことはありませんでした。デスヨネー。妹尾せんせいですもんねー。
でもファルバーンが地下迷宮で何かを見つける話ではあります。
ファルバーンは好きなキャラなのですが、皇妹殿下と同じで何考えてるか分からないキャラでもあったので、彼が視点人物の物語が読めて嬉しいです。
生い立ちが生い立ちなので、もうすこし悲壮な想いを抱いている人かと思ったら……あれ、なんか意外にサバサバしてるぞ。いろいろ思考を巡らせつつ、周囲の人間に内心でツッコミいれてるところとか、なんだかヤエト先生に似ているぞ。
最初は視点人物だからかなーと思ったんですけど、視点人物で他にそう感じたキャラはいないしなー。
ヤエト先生から、お説教とおせっかいと病弱を抜いた感じ……って、それはもはやヤエト先生ではないのではって気もしますが、でもやっぱり似てると思ったし、作中人物たちもそう言っている。
どこが似てるんだろうと考えて、生い立ちや恩寵のせいで自分の人生に諦念を抱いていて、あまり保身に走らないところかなと思いました。なんせ皇女殿下に対する感想が「面倒くさい」ですからね。10回ぐらい出てきましたよ。「面倒」って語。
才能の「てんこ盛り超人」(キーナンによる評価)のくせに、そんなふうに自分の人生や他人に対して投げやりだったファルバーン君が変わっていくのは喜ばしいことですね。
どうかこれからの彼の人生が良きものでありますように。
あとファルバーン君、ヤエト先生を「救い主」として崇めてはいたけど、個人的に懐いていたわけじゃないんだなと思いました。他のひとたちのヤエト・ラブっぷりと比べると一歩ひいたところがありますね。ターンの預言者に「救い主の未来に不要な存在」と切り捨てられたと思っているからなのかもしれませんが。
それから、ファルバーンがスーリヤ(のお茶)に言及してたのが意外でした。おやおや~。
あともうひとつ。今回も食べ物の描写が「まずそう」でした。毎回こうですよね。なんでやー。
あ、フリーズドライの汁物はそれなりに美味しそうだったかも。