※イベストネタバレあり。今回の話と、『銀河鉄道の夜』について。劇中で赤星光正の書いた物語は、『銀河鉄道の夜』がモチーフになっているという説が有力そうだなと思ったので、以下妄想99%の解釈です。
赤星光正の書いた物語を、『銀河鉄道の夜』に重ねるとするならば、
・作者:赤星光正(宮沢賢治)
・主人公:赤星光正が自分自身をイメージして書いた人物(ジョバンニ)
・主人公の親友:万字郎(カムパネルラ)
にあたるのではないかな、と個人的には思いました。
まず、「赤星」というのはアンタレス(蠍座の最も明るい、赤く輝く恒星)の和名だそうで。
『銀河鉄道の夜』において「蠍(座)の火」の話は、物語の重要な転換点になっていて、主人公のジョバンニが今まで幽霊のように生きていた人生を「誰かの幸せのために生きよう」と決意するきっかけの話なんですね。
銀河鉄道の方の話を簡単にまとめると、「銀河鉄道の旅をしている主人公のジョバンニと親友のカムパネルラが、電車の中から星空に美しく輝く真っ赤な光を見つけて何かと尋ねると、同情していた乗客が『死ぬ間際にみんなの幸せのために生きると誓い、永遠に燃え続ける美しい星になった蠍の話』をしてくれる」、という展開なんですが。
銀河鉄道の夜で『みんなの幸のため』に美しい火になった蠍の話を聞いて、「みんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない」と決意した主人公のジョバンニと、名前にアンタレスの和名を背負いながら、万字郎の願いを受けてロンドンの『みんなの幸せのため』に戦った赤星光正は、通ずるところがあると思うんですよね。
万字郎(サム)が主人公ではなく、カムパネルラ側だと思った根拠としては、そもそもカムパネルラのモデルになった人物は宮沢賢治の友人だという説があるので、作者である赤星を演じる想楽と、想楽の友人としての九十九先生が演じるサムの関係性が重ねられているのかなと。
それから、光正が自分自身を主人公と重ねて書いた物語だとしたら、魔力の暴走で救いたい、顕現させたいと願うのは、親友のカムパネルラに当たる人物の方なのでは?という気も…。
カムパネルラ(万字郎)は友人のいなかったジョバンニ(光正)の唯一の親友で、銀河鉄道の旅を共にし、そして列車の旅の最後に消えていなくなってしまう存在。ジョバンニがみんなの幸せを決意した後で消えていなくなってしまうカムパネルラと、今回のイベストの光正とサムのエンディングは、意図したものだったら奥が深いな、と…。
もしかすると、この物語を書いた頃の光正は、友達関係になやんでいたのかな?とも考えられるし、そんな中で物語内で主人公の唯一無二の親友として存在していた万字郎に強く焦がれた結果、魔力の暴走を引き起こして万字郎を実現するに至ったのかなとか…。
この劇中劇のストーリーに重ねて、さらに、想楽くんが過去に友人とうまくいかなかった過去話からの、同年代の友人として九十九先生との仲を深めるエピソードが同時に描かれているというのが、主人公の親友として描かれた万字郎と赤星光正のエピソードと重なってますますしんどい……すごい……すさまじいですよこのイベスト……
とにもかくにも、銀河鉄道がベースになっていると考えれば、想楽くんのカードセリフの「星降る夜に少年が見た赤い星」が『銀河鉄道の夜』の話に出てくる「蠍の火」と一致するし、サムが汽車を生み出すのも、光正が星のような光を生み出すのも納得が行くな、と思いました。
赤星光正という役が日本人だったのも、宮沢賢治がモデルなんだとしたらなるほどなあ、という。
そこまで考えて、宮沢賢治をモデルにした役を北村想楽が演じるエモさ半端ないし、作家側だった九十九先生が作家にえがかれた側の役を演じるのもやばいし、日本の代表作『銀河鉄道の夜』がここに来て改めて最高の文学として猛威を振るうしで、息も絶え絶え。
まあ銀河鉄道の夜がモチーフ説はもう既に万人が考えてることかもしれないなとは思ったんですけど、自分のきもちを整理したくて吐き出しました……
結論から言うと、イベストほんっっっっとーーーーーーーーーーーーーーーに315でした…………ありがとうさいどえむ…………