なんかポエミーなやつら
*2【???:誰かの視点】
声が聞こえる。
こどものように泣いている声が。
さみしいと、ひとりはいやだと、たくさんたくさん訴えかけてくる感情の波が。
救いたい。
でもどうすれば助けられるのか、涙を止められるのか、慰められるのか……どこにいるのか、わからない。
まるで私の方が、迷子みたいだ
*3【???:誰かの視点】
救いたかった。
身勝手な感情だと理解している、それでも……救いたかった。
一緒に歩みたかった。ひとりでは諦めてしまうようなことでも、みんな一緒ならもしかしたら…。
でも彼が信じたのは、彼ひとりだった。
いや…私を信じてくれた。
私が、立ちはだかると信じ、彼は――
*4【???:彼女の視点】
この奇跡に感謝を。
[ ]を変えたいわけじゃない、変わればいいとは思うけれど、それを決めるのは私じゃない。
あなたは[ ]ではないと、それが伝われば……覚えていてくれれば…
だから
「生きて…また、会いましょう? [ ]……」
*5【】
返らない命と果たせない約束
強い後悔と嘆き
儚い希望だけを恃みに
褪せない願いを胸に
水底のような日々を"生きる"
*6【】
人に宿命を負わされた者
望まれるまま必死に走り続け
神に運命を託された者
小さな声を拾い望むままに進み
やがて訪れた対立は必然だった
だが惹かれ合ったのは必然ではない
抱いた願いは同じだった
選んだ手段は対極だった
望む世界のため
望まぬ闘いを 今
*7【】
彼女はただ信じた
善きものと悪しきものを持つ彼なら 悪しきものを退けた彼なら
使命ではなく願いとして救うことを望んでくれたなら
この世界を “人々”を 見てくれると
だから彼女は
*8【】
一つ目の絶望を見送った雫の名を祈りと言う
二つ目の絶望を照らした炎の名を信頼と言う
辿り着いた先は【最悪な結末】
だが世界は本ではない
ここでは終わらない
かつて流れた雫が
願いを託した炎が
紡がれない筈の未来を描く
*9【】
彼女は祈り続けた
彼の魂の平穏を 安らぎを
深い悲しみを抱いて
消しえぬ罪を被って
来る日も来る日も果てなく
それが唯一の贖罪であるかのように
そうして祈り続ける己を心配する者がいるとは露知らず
*11【】
彼女と同じ場所に立ちようやく理解した。あれは果たせぬ約束ではない。
願いだったのだ。
叶わないと解っている、それでも捨てきれない想いが報われることを夢見て、目の前の無垢な心を守りたくて、紡がれた希望。
私も、あの時の彼女と同じ“約束”を口にする。
*12【】
こわくないと言ったら嘘になる。でも不思議と『大丈夫』と思えた。
こんなにも強い力で、震えて、まるで迷子のような人。
何か深い悲しみを抱えて、心の中で雨が降り止まないんだろう。
そんな人を怖れたりしたくない。
寂しい思いも、寒い思いも、させたくない。
「大丈夫ですよ」
大きな背に腕を回し、私はそう告げていた。