#ヴァチカンのエクソシスト 感想
スタイリッシュバディアクション異能バトル映画。
思わずパンフ買っちゃった。
これはマジでやべえもの見ましたよ。今年一番(殿堂入りのアレを除く)の映画だと言ってもまだ過言です。今年はまだ5ヶ月ある。
・感想
悪魔が異能の力で攻撃してくるのに対して、まさか神父も聖なる異能の力で対抗するとは思わないじゃん!
序盤で豚に乗り移らせて豚を仕留める事で悪魔を払うという原初にしてトンデモパワフルな解決方法から始まるのは、「この映画はこういうことだ!」をいきなりぶつけて来て素晴らしいですね。
ホラー演出を挟みつつ謎解きが入り、最後は異能バトル。父と子と精霊の御名によって悪魔を払うラストバトルは必見ですよ。
・ガブリエーレ
好々爺然とした可愛いおじちゃんであり、煮ても焼いても食えない古強者であり、己の傷を背負って生きる一人の弱い人間。
でも1987年にもなると科学が発達してエクソシストの存在は疑問視されてるんですよね。心霊現象も天然ガスと自然発火。悪魔憑きも精神の病。……果たして本当にそうでしょうか?
協会からは異端視されつつも「私を任命したボス(ローマ法王)に文句言いな」と切り替えして審問会を去る食えなさは大変に好きです。昼行灯のようで古強者。みんな大好き。
でも彼も最初から強かったわけじゃない。救えなかった、救わなかった少女がいつまでも彼の心に刺さっていて。人の罪を赦せても自分自身は赦せないままだったんですよね。
それをトマース君に告白するシーンはぐっと来ましたね……。トマース君がほとんど訓練されていない神父なのに、彼を最初から一人の神父だと認めているのもガブリエーレの懐の広さというか。
まさか最後に「俺自身が豚になる事だ」で自分もろとも悪魔を払おうとするのは気高くも「や、やめろー!!!」という気持ちで見てた。まあ悪魔なんで自殺キャンセルされますけども……。
・トマース君
ごめんよ。最初はモブだと思ってた。「神父を呼べ!」「お前じゃない!!」は予想してたけど笑っちゃった。
ラテン語読めないし懺悔も最後にやったの8ヶ月前だし、ガブリエーレ来たからもう用済みじゃね? と本人思ったかもしれないのに、ちゃんとジュリア一家に寄り添ってくれる。知識と経験がなかっただけで誰かのために手を差し伸べられる人なんですよ。
だって家族を連れ出して車に載せたあと、車の外でドア閉めるんですよ!?
あれができるってことは主人公の素質があるんですよ。本当に震えた。おれはどうしてこの映画を今日になるまで放っておいたんだ?
でも彼も恋人との別れを経験していて、辛い思い出を抱えているんですよね。それを利用する悪魔的手法。全裸の想い人を召喚してファックしろは鬼! 悪魔! デーモン! ですよね。鬼で悪魔でデーモンなんですけども……。ほろびろ、デーモン!!!
この映画はガブリエーレ神父だけで100点なんですが、トマース神父の覚醒で200点です。
土壇場でラテン語を覚え、己の弱さに打ち勝ち、ガブリエーレの危機を救ってウイスキーを酌み交わす。ラテン語覚えてなんとかなりましたね。そしてトマース神父は新たにエクソシストとなる……最高!!
・ほろびろ、デーモン!
序盤の悪魔は下級レベルなので神父の名前も知らないし強くもないけど、相手が強大だと名前どころか思い出すら読み取って弄んでくるのはやり口が悪魔ですよね。人の弱いところつついてくる。的確な攻撃方法だし、TRPGでやりたい。やりたいけどやるとプレイヤーを破壊するのでやらない。
だってガブリエーレが散々「私の名前を言え! 私の罪を言え! 言えないだろ下級悪魔が!!」ってやってたところに「それがどうした、ガブリエーレ」ですよ。ゾクッとしますよね。
やはり真名を明かすのは弱点なんです。名前が分かれば魔物知識判定成功したみたいなもんですよ。だからみんなコードネームを名乗る訳で。洗礼名ってそういう……訳ではないですよね。
そしてやはり罪は己のうちにある。悪魔に取り憑かれた神父が異端審問始めたのがエクソシストの始まりとなれば、異端審問の名の元に悪魔に生贄捧げてた事にもなりかねない。水に沈めて浮かび上がらなかったら魔女じゃなくて人間なんですよ。
そりゃこんな秘密知ったら握り潰したくなりますよね。だって己の椅子が揺らいじゃうから。
・総評
ガブリエーレ神父ほんとに実在の人物なんですか!?
じゃあこれも実話……!?
いやーほんとにこれは見てよかった。今日で公開終了らしいけど、まだ劇場に残ってたら見ような!