★Viviette
本編をプレイ中にメモしていた大まかなキャラクター情報と、おおよその物語の考察です。
ネタバレ多大に含むので、クリア後の閲覧推奨。
■登場人物
●フォセット・ジュール
本作の主人公。フェリスの兄。
この世の者ではない何かを見ることができる妹フェリスのことを、隠して守ろうとしていた。
ジュール自身も、おそらくその性質を持っており、誰にも表明せず隠している。
●フォセット・フェリス
ジュールの妹。この世の者ではない何かを見ることができる。
本人はそのことに対して気後れしておらず、何かと自身の性質を隠そうと否定する兄のことに不信感を抱いている。
兄が自分と同じ性質を持つことは知らない。
何らかの理由により、孤島にあるヌーヴィル家の屋敷でスピリットボードを使って降霊術を行った。(玄関にスピリットボードが落ちている)
●ディオン・グラヴェル
女友達。ディオーネと愛称で呼ばれている。
男友達のトリスタンとダレールと比較して、ジュールの妹フェリスのことを偏見の目で見ず気にかけている。
猫のローリーを飼っている。
本編中は丸太の中にいる。
●ブライス・ダレール
男友達その1。妹フェリスに対して良い印象を抱いていない様子。
本編中は木の人形の中にいる。
●トリスタン
男友達2。楽観的。
●ローリー
ディオンの飼っている猫。
●マルセル・デヴォールト
警部。「ヌーヴィル事件」のことに興味を示している。
●アデラール・ヌーヴィル
本作の屋敷の主。ビビエットの夫。権力を持つ上流階級の貴族と見られる。孤島にある屋敷にビビエットと共に住んでいる。
ビビエットが流産して子を作れない体になったことにより、彼の中で何かが狂った。
また、この世の者ではない何かを見るビビエットに対して嫌悪感を抱いており、世間から辱めを受けないようにと彼女を屋敷内に監禁し、監視する。
妻のビビエットの奇怪な言動により苦痛と恥辱を受けたと感じたアデラールは、彼女に催眠鎮静剤を飲ませ、彼女を全面マジックミラーで張った地下のダンスホールに監禁し、報いを受けさせようとした。
同時に、妻の若かりし頃・正常だった頃を追い求めて、あの頃の妻を再現しようとリアルな木彫りの人形を作っている。
23年前に何者かの手により首を絞められ殺害されているが、容疑者は見つからず、絞殺の指紋も人間のものではない。
●ビビエット・ヌーヴィル
子供を孕んだが、流産になり、それと同時に子供を作れない体になってしまう。
それ以降、館内で子供の幽霊が見えるようになった。夫のアデラールはそのことに激怒し、正常にさせようとしている。
夫の監視や束縛がより過激化したため、親友のアリスに助けを求める手紙を出そうとしたが、館内にその手紙があるのでおそらく夫にバレており秘密裏に処分されている。
同じ性質を持つ、妹フェリスに憑りついている。(おそらく、屋敷で降霊術を行ったため)
アデラールが殺害される4ヵ月前に失踪届けが出されている。
●ファビオ・ラボシェール
ヌーヴィル家に食糧を提供している一家の主。
息子がヌーヴィル家に食糧を届ける際、何らかの不始末を犯したことにより、アデラールから酷く叱責を受け、そのことを懺悔する手紙を送る。
積極的に食糧提供をする旨を伝えていることから、アデラールから何らかの多大な恩恵を受けている可能性が高い。
●シコット家
ヌーヴィル夫妻を園遊会に招待する手紙を出した。
夫妻が館から町へ出ない理由を、移動手段がないためだと思っている。
アデラールは彼らが、妻と自分のことを裏で嘲笑っているのだと敵視している。
●ガストン・ヴァリエ
ヌーヴィル夫妻のかかりつけ医。今後、ビビエットが子供を作れないということを伝えた。
また、日に日に精神状態が悪化していくアデラールに対して心配する手紙も送っている。
●アリス
ビビエットの最愛の親友。
●エミリアン・ラプラス
アデラールから依頼を受け、マジックミラーを作成して届ける。
■物語
一周するまでは、もうとにかく逃げ回るのと、どこで鉢合わせるのかというドキドキ感で物語の細部を嚙み砕く余裕がなかったのですが、周回で余裕が出てきて物語を紐解いていくとなかなか深みがあって興味深い。
物語は基本的に考察向けで、マップ上にある資料と各人物のセリフ、その他マップにあるオブジェクトから推測して考察する必要が出てきます。めちゃくちゃ楽しい。
資料とセリフから考察することはよくあるのですが、それだけでは物語の補完が少し難しいところがある。だけど、マップ上のさりげなく配置されたオブジェクトにより、決定的な事実が示され、ちょうど穴を塞ぐように情報を与えてくれる。最高。あんまりマップ上のオブジェクトから情報を拾って、物語のさらに細部を紐解いていく経験がなかったので新鮮味があって楽しかったです。
おそらく、本編内では幽霊を「実在するもの」として描いていると思っています。脳の錯覚でもなんでもなく、確かにそこに人ならざる冥界の者がいる。ただ、それを見ることができる人と、できない人がいるだけだ。
幽霊が見えるのは主人公の「ジュール」、妹の「フェリス」、アデラールの妻の「ビビエット」の三人だと思う。
「妻の性質を隠そうとするアデラールと、そのことに疑問を抱かないビビエット」と「妹の性質を隠そうとするジュールと、そのことに疑問を抱かないフェリス」の双方の似た構図が、異なる時代、しかし同じ舞台で起きているのが凄くいいですね。語彙力は死にました。
アデラールは妻のビビエットの性質を完全否定して、世間からの嘲笑や恥辱を受けないようにとビビエットを隔離し、間接的に死に至らしめたのだけど、ジュールは同じ轍を踏むことはなかった。(EDによっては妹のフェリスは死にますが)
それはおそらく、ジュールもフェリスと同じく「見える側」の人間だったからで、アデラールも同じような性質を持っていれば、少しは違った未来があったのだろうかと切なく思います。
どちらの関係も似たような構図になっていたから、降霊術をした際に深く共鳴してしまって、フェリスにビビエットが半分憑りついてしまったのかなと思っています。
降霊術をわざわざ友人たちを呼んで行ったのも、彼らに「人ならざる者は確かにそこにいる」ということを証明して認めてもらいたくて行ったのかなとも推測している。「自分の性質、見えている世界はおかしいことではない」ということを。(わざわざあの屋敷を選んだのも、そういった背景があることを知っていて行ったのかもしれない)
アデラールを殺害したのは、流れをそのまま考えたら、亡くなった妻のビビエットになるのかなあとなりますが、実際のところはどうなのかわからない。
フェリスに憑依したビビエットが酷く鏡を恐れているのも、過去にあの鏡の部屋で衰弱しきった自分の顔を見ながら死んだわけで、徐々に死に向かっていく己の顔を見るのはかなり精神的にダメージがくるものだと思う。
資料は全部回収しているけれど、結構細かい物語を補完出来てはいないなあと思う。文章がいつも通りまとまらねえ。男友達のトリスタンだけどこにもいなかったのだが、彼は一体どこにいたのだろうか。無自覚殺害イベントを見逃しているだけなのだろうか。
脱出・謎解き・逃走要素だけではなく、掘れば掘るほど見える真実や物語があって、凄く楽しい深みのある作品でした……。