「海も枯れるまで」 ネタバレありの卓後整理
日記とオーバードーズ用の薬。
日記=
あの不思議な一件から数日が経った。
あの日のことを振り返る。
私は自殺がしたかった。
父も母も、爺やも、妻も失った。大切な人を軒並み亡くした私にとって、大企業の息子という社会的な立場、資産は、どうでもいい。復讐のために犯人の大切な人も殺してやった。人としての最低限の倫理観も捨てた。やることはやった。後は早く自分が死んで終わるだけだ。生きている意味はもうない。そう思って、入水自殺を行おうとした。
けれどまた死ねなかった。
この世界には魔法のようなものが存在していて、魔法でできた島に迷い込んでしまった。魔法があるのなら、私の代わりに大切な人が生き返れば良いのにと思った。
その島である、深海の底で暮らさないかと話を受けたが、生き地獄をみたいわけじゃない。
すぐにでも帰れるなら、帰って静かに死に場所を探したかった。幸せな記憶が有るから、生きている限りそれを思い出して絶望することになる。だから死にたい。いつも、私だけ死ねなくて置いていかれる。牢獄に囚われるのは御免だった。
その島から何とか出れたが、出る時に借りを作ってしまった。
十鳥るり子という15歳の命をどうにか育てることにしよう。彼女が20歳になるまでは面倒を見ることになるだろう。彼女に罪はない。外の世界を知りたいという夢を持っている。そういう人こそ生きたら良い。
数年あたりか生きていくことになった。まだ死ねないらしい。今の私は指名手配の身だ。いつ捕まるか分からない。顔に怪我を負って顔の見分けが付かなくなっているから、しばらくは大丈夫だろうが、いつかはるり子ちゃんに話さなくてはならない日が来るのかもしれない。
ずっと隠れて生活をしていると、彼女にも不便をかけるだろう。不便が限界になった時が最後だろうか。もしくは捕まりそうになった時が最後だろうか。裁判をすれば人を殺しているのだし、無期懲役か死刑判決になるだろうか。その日のために、るり子宛の手紙と必要であろう財産を渡しておこう。今のところ、捕まるつもりはない。捕まるくらいなら自殺をする。その時には彼女には悪いが自分の意思を優先する。ムショの中に居てはどのみち彼女を支えることも出来ないし、この苦しみから離れることも出来ない。あの島で生きるのと同じだ。その日が最後になるだろう。
。
この後の展開どうなんだろう…
そのままひとり家を出て自殺しちゃうか。るり子ちゃんとの生活で精神的に「生きたい」と思ってしまったら、静かにオイオイ泣いて、自首して捕まる結末に行きそうだな。面会室で話してる姿が思い浮かぶ。