【届かなかった手紙】
あなたに届くかわかりませんが、届けばいい、届いてほしいと思ってこの手紙を書いています。
大陸のみんなが…私や旅団、あなたのことや指輪について忘れてしまって、すごくショックでした。
でもしばらくみんなの様子を見ていて、これでもいいのかも知れないと思いました。
私を思い出せなくて苦しんでる人もいなければ、明日への希望を持てなくなっている人もいない。
なら、未来へ向かうのに、私の存在は必須ではないのでしょう。みんなが穏やかで在れるなら、未来への希望を胸に生きていけるのなら、忘れられても、この世界から消え去っても、かまわない。
あなたがみんなの記憶を焼いたのは追手を作らないためなのでしょうけれど、痛ましい記憶を消して安らかな時を過ごさせるためでもあった…と考えるのは虫が良すぎるでしょうか。
――みんな、あなたを倒すつもりで辺獄へ向かいました。でも私とロンドは、あなたを止めるだけのつもりでいたんです。
あなたと話がしたかったから。
あなたは全てを一人でやろうとしている。
私はそれが…とてもさみしくて、悲しい。
あなたが見る世界に、私たちはいないみたいで。
あなたが抱えているものを、悩んでいることを、苦しんでいることを、知りたかった。
……いいえ。今もそう思っています。
サザントスさん
あなたが目指す世界に、私たちはいますか?
あなたの隣には、誰かいますか?
一人で立つその場所は、寒くありませんか?
もう、あなたと手を取り合えないんでしょうか…?
私はこれから聖火神の祠へ向かいます。
その先にあなたがいるのなら、そこで答えを聞かせてください。
…もし
もしも叶うなら
あなたと、ロンドと
また三人で――