砕かれゆく水晶の中で シナリオ通過感想とSS
◆ショートストーリー
ユリアンの性格は、気立ての良いおせっかい焼きだ。
表に秩序、裏に愛を持って生きている。
人が困ってたら助ける秩序行動をして、感謝されたときに愛を感じる。
そういう風に人を助けては親しくなっていった。
そんな中で、恋人となるローザと出会うのが、人助けを通してというのは当然だっただろう。ローザが悪そうな人に絡まれているのを止めに入って、更に偶然よく行くお店の店員さんで、よく話すようになり、、、そんな感じで関係性は愛を育んでいく。
ユリアンはユダヤ人は迫害する対象だと考えている。しかし、それは所属する組織でそうなっているからであり、それ以上でもそれ以下でもないと考えている。ユリアンは秩序を通す人だから、内心では酷いことをしているなと自覚があっても、秩序を守るたちだった。警察というのは時にそういうものだと割り切っていた。
そんなある日、ユダヤ人虐殺が行われた日に見てしまう。
最愛のローザがユダヤ人であると知ってしまう。
ユダヤ人である彼女たちを見つからない場所に隠し、職場に顔出すために戻った。仕事中は彼女のためにどうするのか悩んだだろう。そして、仕事終わりに、食べ物と暖かいものを持って会いに行き、今後の方針を話しに行く。
ユリアンは救うのに悩んだ。救い方に悩んだ。
悩むのは、どちらの愛が大切なのかだ。
ユリアン自身の家族、交友関係を大切に思うなら、ローザとそのままつがいになることは無かっただろう。けれど、つがいになることを選んだ。理由は、彼女との出会いにあった。彼女と出会ったとき、困っている彼女を助ける以外の選択が彼にはなかった。それなら、今も昔も変わらない、彼女が困ってるいなら助ける以外の選択はない。
ユリアンはローザたちを匿いながら生活する道を選んだのだった。ユリアンは、彼女とふたりで居る時に自分の居場所を感じていた。それが無くなるのは辛かった。ユダヤ人を匿っていることがバレれば、ふたりとふたりの家族が悲惨な目に会うのは目に見えていた。けれど、それしか無かったのだった。
そうして、ふたりはささやかに続く日常を過ごしながら、いつかバレてしまう日を不安に日々を過ごすのだろう、、、
◆感想
最初「ドイツだー。楽しそうー。」くらいの気持ちで参加してみて、
いざ卓準備のためにキャラシートを作っていくと、
「あれ?アンネの日記とか、ホロコーストとか、アウシュビッツ収容所とか、そういう話かな。これ恋人、、実はそうとかの展開かな、、」
と想像が飛んでいってしまい。
卓が始まる前から、この共鳴者が恋人を匿うとしたら、どういう風に振る舞うんだろうとか想像していました。
それにしても、ユダヤ人を取り締まるロールは気持ち悪かったです。
プレイヤーのリアルSAN値チェックが毎回ありました。
はあ、、今の日本は平和だ。良かった。(そうは言っても、時代が進むごとに人権意識がアップデートしていって、今の価値観でおかしいところは有るのかもしれないですけどね、、、話それた。)
それと、共鳴者の警察同僚が完全にヒトラーによるプロパガンダにハマっていた件について、、、陰謀論にはまる人が必ず一定数いるのも分かるんですよね。仕方ないというか、それが人間のバグと言うか。人間の文明の強さの証でもあるような気もするし。
それはともかく、混乱の中でも強く生きてくれと思います。別れる選択をしても良いというか。それぞれが強く生きることが出来たら、それで良いのかなと終わったあとに思考整理をしていて思ったりしました。
歴史で同じことを繰り返したくないな、、悲劇だったな。
◆感謝
ドイツの描写を更に明確にできるように、卓の準備をしてくださったDLのアンさんありがとうございました。
最初の導入で一人二役で悪いお兄さんとローザやってもらって、レストランで嘘がバレるためのイベントをこしらえてもらったり、とっさの起点を利かしてもらったのもあり、楽しかったです!
瑛さんのシナリオは2回目で、前回は「愛しき未来のこどもたち」で別のドイツを楽しみました。歴史をなぞって空気を味わえるシナリオだなーと感じています。楽しませて貰いました。ありがとうございました。