6.5章で一番情緒がべちゃべちゃになったの、ドン・キホーテなんですけど更に言うと彼が終盤で遍歴の騎士として中軍を任されるとこで限界突破して大泣きしました。
もうそもそもヘラクレスが吹っ飛ぶのを見て逃げてしまった一般人に近い精神性、でもそれをずっと引きずってて何とかしようとあがいていた善良さ、震えながらカール大帝と名乗る重責を負う責任感、その上でのVSコンスタンティノスの絵面(長身イケメンに突っかかっていく勝てるはずもない小さな老人)、という辺りでもう感情がしっちゃかめっちゃかだったんですが、トドメは遍歴の騎士として中軍を任されたことでした。
だって、このひと、別に遍歴の騎士じゃない。
本名アロンソ・キハーノという、ただの騎士物語を読みすぎて自分を騎士だと思い込んでいるだけの田舎郷士だから、別に騎士としての人生も活躍も経験も栄光も一切無い。
そしてFGOのドン・キホーテの精神は狂った蛮勇のドン・キホーテではなくて、自分の正体を自覚している為限りなくアロンソに近い。
なのに。なのに「遍歴の騎士」と呼んでもらった。
「遍歴の騎士」として中軍を任せてもらった。
『ドン・キホーテ』はアロンソ・キハーノの夢だから。
アロンソ・キハーノの夢想した『ドン・キホーテ』は遍歴の騎士だから。
その名その姿で召喚されているならば貴方は遍歴の騎士だろう、という呼びかけなのだと感じました。
夢を見る老人への限りない慈しみと、その夢の具現化としての『ドン・キホーテ』への信頼でもう情緒がオーバーキルです。
そしてだからこそ、『嗚呼、この惨たらしくも優しい現実を』が美しくて悲しくて、それが使える事が強い。
なるほど彼もまた「或る幻想の生と死」のタイトルに相応しい一人でした。
えーーーんドン・キホーテ……めちゃくちゃ好き………
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ところで、ドン・キホーテを舞台化した「ラ・マンチャの男」なるものがあるんですがその中にあるサンチョのフレーズに
私は世界に向かって 誇らかに名乗りをあげよう
私は彼の従者だと。私は彼の味方だと。
っていうのがあるんですけど、ラ・マンチャの男ってドン・キホーテよりもっとこう、現実と幻想の要素を表に出してくるんで(そもそもドンキそのものが劇中の即興劇の扱い)、それを念頭に見るとこのサンチョの言う「世界」、「世界中に広く名乗りを上げよう」の意味じゃなくて「お前は騎士ではないと否定する世界」に向かっての「私は彼の【従者】だ!私は彼の味方だ!」という名乗りに感じて勝手に泣けてくるんですよね……
えーーーんドン・キホーテ……めちゃくちゃ好き………(二度目)