安室透の瞳ハイライト消失は通称バーボン目と呼ばれていますが、執行人や対赤井の演出を観ていると、あれは安室自身の善悪観、今の自分の行いは正義なのか悪なのかの認識に左右されるのではないかという気がしています。
執行人で描かれていたのは明らかに「降谷零としてのハイライト消失」なので、バーボン目とは言いつつも、ハイライト消失すなわちバーボンモードというわけではないのだろうなと思います。
まず前提に、安室に限らず他キャラクターにも共通する演出として、衝撃や絶望によるハイライト消失があります。
それ以外での安室の瞳ハイライト消失タイミングは
・バーボンとして仕事をしているとき
・赤井秀一への憎悪や殺意を露出させているとき
そして執行人ではこれに加え
・(たとえ正義のためであっても)悪事を働いているとき(違法行為中や人を騙すシーン)
・もうイッちゃってるとき(モノレール回避)
なのではないかなと感じました。バーボンモードのハイライト消失もこの3つ目に含まれるのだろうなと。
執行人におけるハイライト消失は興味深いタイミングで発生しています。盗聴などの違法行為や江戸川を冷たく拒むポアロでのシーン、風見に違法な形で爆弾を用意するように要請するシーンなどはわかりやすいのですが、他にも日下部に警視庁の屋上に羽場がいると嘘をつくカットや、ドローンで運んだ爆弾の爆破スイッチ推すカットなど、場面全体ではハイライトがあるにも関わらず、その瞬間だけそれが消失しているシークエンスがあります。
逆に、(たとえ直前/直後でハイライトが消失していても)ハイライトがあるのはどういうシーンなのかと考えると
・素直に心情を吐露しているシーン(日本橋やラストの江戸川との会話)
・己の信念を語っているシーン(羽場からコードを聞き出すシークエンス)
(日本橋のシーンはこの両方ぽい)
なのだろうなと。
無人探査機のアレを太平洋に飛ばすために爆弾を爆発させるところのハイライト消失が本当によくて、直前まであったハイライトがその瞬間だけ消えています。多分。記憶の限りでは……。それこそが正義の執行や理想の追求、信念の遂行に伴う責任と覚悟で、それは彼の瞳から輝きを奪うものなのだろうなと。
これは執行人全体の感想でもあるのですが、安室は自分が正義を執行するために悪事に手を染めていることにきわめて自覚的なキャラクターなのだろうなと思います。たとえ正義のためであっても、いま行っている行為が悪であるならば瞳のハイライトは消える。しかしそれでも、その行為の根底にある信念や理想を語るときには、彼の瞳はきらめきを宿している。このバランス感覚がスゲエ〜なと思います。
余談ですが、わたしはどちらかと言うと、最後に江戸川に「そうすれば、君の本気の力が借りられるだろ?」と言い放つ彼の瞳にハイライトがあることになんだか感動してしまいました。その感情は光なんだな……その上で盗聴や盗撮の間はハイライトがないの、すごくないですか? 安室透という男……