海リエ随一のアク強……でもなくチョロキャラ……でもない、名家の出身ゆえか本来の性格を押し込めてきた激情家がアンナ・シュナイダーという人物なのかも。
P42-5~8のお嬢様らしい表情(細目)からそのまま静かに、幼少期の相方だったピアノ奏者のナタリアへ怒りを滲ませるP43-1~2の様。素敵。
で、お嬢様としての格式高い振る舞いを半強制的に心がけるようになった(あるいは実際に強要された可能性もありそう)ことで抑圧された感情の一端を、アンナ女史の素に触れてみたいと願う海さんへ吐き出してみたくなった。そんな風に思えます。
更に言えば、素をそう簡単に曝け出せないからこそ、感情の赴くまま行動する海さんに八つ当たりしてしまっている側面も……ないこともないんじゃないだろうか。
海さんは彼女の地に対して何を思い、またどこまで見抜いているのか、なんて考えてしまうほどにはほっとけない。
といったプロセスで海さんがアンナ女史にとっての転換点を握るキーパーソンになっている(?)他方、海りえ一行もそっちはそっちでアンナ女史の影響からオーストリアの文化を改めてしっかり知る方針に頭を切り替えてる辺り、2人にとってのアンナ女史の存在感はまた一段と大きくなったみたいですね。生で見るオーケストラって本当に迫力あるしなあ。それを指した「音浴」って表現はまさに言い得て妙。
エマさんマリアさんに比べるとアンナ女史本人はあんまり案内人っぽさがないけど、これまでと変わらず3人の物語が非常に丹念に描かれているオーストリア編。旅人は旅人だけで行動してるほうが寧ろ旅してる感が強まってる(cf. イタリア編)とも受け取れます。旅してない人(アンナ女史)側の存在が間接的に旅を際立たせてくれてるちょっと捻った構成。
そんな興味深い回だったんですが、それ以上にボクの頭に残ったのは塩。ザルツブルクが塩で栄えたからって「塩買って(ウィーンに)帰るか」は笑った。
そしてりえちゃんはどうにもアンナ女史に対して沸点の低い場面が目立ちますね。りえちゃんもまた(激情家ってほどではないにせよ)感情的になりがちだからなあ。
「パンチしていい!?」でこれまたゲラゲラ笑った。