11月18日(土)、ムケイチョウコク『漂流する万華鏡』に黒子チケットで参加した時の断片的な感想です。ネタバレ、記憶違い、解釈違い等ご容赦ください🙏
#漂流万華鏡
#ムケイチョウコク
10月14日に登場人物チケットで参加して小石川樹として漂って以来、次は黒子として参加しようと心に決めていました。
樹のときはずっと2階にいたので、主に1階で悟朗さんや花枝さんの様子を観ていました。黒子の座れる黒い座面の椅子に座って同時多発的な会話を聴いているのは、登場人物での参加と比べてふだんの観劇に近い感覚でした。
以下は、断片的な感想です。印象に残ったことを順不同で羅列しています。
・悟朗さんとその妻 虹乃さんのこと
悟朗さんが最初は「あのお店で食事して帰ろう」と言っていたのに、動揺することが続いたあと「さっき食事して帰ろうって言ったけど、やっぱり今日は虹乃の作ったご飯が食べたい」と言うのを聴いて、2人の関係がじんわりと伝わってきました。それを受けて虹乃さんの得意料理について語り合う様子も温かい感じでした。
終盤近くなって、悟朗さんが奥さんに惹かれたきっかけを語ったのですが、虹乃さんの普通さ、いや彼女といるときが一番自分が普通でいられると思った、と言った悟朗さんの誠実であろうとする様子が印象に残りました。
そして、自分の秘密を知りたいかどうか、悟朗さんに問われた虹乃さんが、知りたくない、さっきあなたが「誰にでも秘密があっていい」と言ったとおりに、と答えたのが衝撃的でした。自分ならきっと「知りたい」と答えてしまったと思います。
・悟朗さんと妹 誉さんのこと
就職したばかりの可愛い妹に「何かお祝いしなくちゃ」とか「彼氏はいないのか」とか「今度うちに飯を食いに来いよ」とか、話しかける悟朗さん。誉さんの反応にも仲のいい雰囲気がにじみでていました。
兄の蓮一朗さんに対しては複雑な思いのありそうな悟朗さんなので、妹に対しては自分と同じ「普通」の側にいて欲しい、という願いが感じられます。でも誉さんには普通かどうかより大切ものがありました。
「俺って普通じゃないのかな」と訊ねた悟朗さんへの誉さんのお答え(「兄さんも私も普通じゃない。でも、それが普通」というような感じだったと思います)がとても素敵でした。
・LaLAさんとそのファン絹さんのこと
途中で2階に上がったときに聴いた、音楽家とファンの会話が激アツでした。音楽家の吐露する真実に対して、全肯定する絹さんの熱意が素敵で、オタクとして劇中の彼女に共感しきりでした。
・蓮一朗さんと樹さんの会話
アトリエからサロンに戻った2人の会話は個人的に思い入れのある場面です。
自分はちょっと距離感のある感じでしか話せなかったのですが、この日の樹さんは昔馴染みの友人らしい親しげな雰囲気で素敵でした。そうだよなー、そういう距離感だよなー、と思って聴いていました。
あと、自分の手にした灯りに近づいたときの蓮一朗さんの横顔が柔らかな光に映えて美しく、しばし見惚れてしまいました。
・花枝さんのこと
小説が読まれた後の動揺と崩れ落ちる様子に、この人は本当はとても蓮一朗さんを愛していたのだ、と感じられました。透子の存在についてポツポツと語る花枝さんの秘書 工藤はるきさんのためらいがちな言葉も切なかったです。
・透子と蓮一朗
2人が階段から降りてきて建物を出ていく後ろ姿を見届けて、なぜだか涙が溢れそうになりました。
・音楽のこと
サントラが発売になってすぐ購入し車通勤の行き帰りに聴き込んでいましたので、実際に会場で聴いて曲のイメージと物語の相性の良さをしみじみ堪能しました。アルバムを聴いてる時に『旅を漂う』という曲がとても気に入っていたのですが、物語の重要な場面で聞こえてきて、(あ!ここでかかる曲なんだ!)と感動がひとしおでした。
・ツカイ先生と黒子
最初の説明からラストの演出まで、穏やかで包容力のあるツカイ先生に導いていただいて(マヌケな失敗もいくつかありましたが)概ね無事に黒子のお役目を終えることができました。登場人物とはまた違う緊張感や面白さを堪能いたしました。
もっといろいろあったはずなんですが、とりあえず思い出せたことを書き残しておきます。
この夜、物語を共にした皆さま、ありがとうございました。