蜂須賀虎徹の極修行を終えて。長曽祢さんもはっちも刀剣男士に選ばれぬ事を選べなかったし、浦島は虎徹にとって重要なキーパーソン(ソード)だったんだなって改めて思った。以下長すぎる乱文
つらい。虎徹つらい。
なんてことするんだ時の政府。
蜂須賀虎徹は確かに虎徹の真作で名刀なんだけど、恐らくそれ以上でもそれ以下でもないんだよね。
ただひたすら出自に信頼のおける本物ってだけで、派手な逸話も由来もない。ただ蜂須賀家にあったから蜂須賀虎徹。他にも家が由来で名のついた刀剣男士はいるけど、蜂須賀にその名がついたのはほんとつい最近のこと。虎徹として刀剣男士になるには少し逸話が薄い。
一方長曽祢虎徹はというと、
「新選組局長近藤勇が持っていた愛刀で、どれだけ激しい戦いをしても折れも曲がりもしなかったとされるが、実は虎徹の贋作であるとの説が有力」
とまぁ、逸話の満漢全席。フルコース。
あまりにも逸話が強すぎて、贋作だけど刀剣男士にならない道がない。選ばれぬことを選べない。つらい。
刀剣乱舞の世界というか時の政府は「近藤勇の虎徹は贋作だけど、まぁいいかそのままで」とはならず、真作の虎徹も並べなければならないとの判断で蜂須賀虎徹に白羽の矢を立てたのではないだろうか。
それも、逸話の薄い「ただ本物の虎徹であるだけ」の蜂須賀虎徹に。
ずるすぎるでしょこんなの。
こんなの蜂須賀はどうしたって「彼は偽物、俺が本物」ってひたすらそのことを語ることしか出来ない。贋作長曽祢虎徹ありきで真贋を証明しつづける役割をもって刀剣男士になったから、そう言い続けることが刀剣男士蜂須賀虎徹の存在理由になるように出来てしまってる。
だから例えどれだけ本音では憧れようとも、自分の存在理由がそれを表立って認めることを許さない。
今回の修行を見るに、蜂須賀の言う「真作の虎徹」は本物云々というより「理想の虎徹」という意味なんじゃないかと思った。
そしてその理想は「力があり、優しい」こと。もうどう見ても長曽祢さんが体現していることなんだよね。だから憧れないはずがない。
でも存在理由がそれを許さない。
手紙に行き先が、ヒントすら書いてないのが逆に物凄いヒントのような気がして。
ずっと修行場所について悩んだ話をしてるのに、肝心な実際行った先は書かない。いやむしろ書けない。だから私もここに書くことはできない。
そんな蜂須賀が修行で得てきたのは「贋作をわざわざ忌避せずとも、己がただ力があり優しい理想の虎徹になれるよう努力すればいい」っていう心構えで、それを実行することによって実はとても回りくどく間接的にちょっとだけ長曽祢さんへの憧れを肯定することが出来るんだよね。
ある意味抜け道というか。表立って認めるなんて言葉は絶っっ対口に出来ないんだけど、行動で示すことで自信をもって理想の虎徹として隣に並ぶことができる。
まさしく「言葉より行動だ」……泣
そこからの破壊台詞がもう絶句からの大号泣案件。むりです。なんてことなの。
本当は浦島と同じ気持ちだったんだね。でもどうしても言えなかったんだね。折れて初めて解放されたんだね。
真贋関係なく、皆と共に「虎徹」を愛したかったんだきっと(ミュの話になるけども、らぶフェス2017の千秋楽挨拶で長曽祢さんをちらっと見てから「虎徹をよろしく頼む」って言った蜂須賀虎徹が今回のことととんでもなく合致してて鳥肌が立つし泣く)
逸話が薄いからこそ素直のままで優しい性格の蜂須賀がわざわざ誰かを、しかも憧れてる人を舌打ちまでして嫌わなければならなかったなんてどれ程苦しい事だったんだろう。本当につらい。なんてことしてくれたんだ時の政府。
本当に浦島がどれだけ虎徹の救いだったか。
浦島はきっとこのふたりの中間に位置していて、「真作」だけど「名前が間違ってる(かもしれない)」。名前の由来は間違ってるかもしれないけど、「浦島に見えるんなら浦島なんだよな」。
そう見えるんならそうなんだよ。立派な虎徹に見えるんならそうなんだよ。
彼だけが「真贋、由来、逸話は関係ない!」とキッパリ言いきれる存在なんだよね。
だから長曽祢兄ちゃんは兄ちゃんでいられるし、蜂須賀兄ちゃんは誰にも言ってはいけない本音をこっそり浦島だけに吐露することもできる。
だから浦島虎徹は誰とでも仲良くできる。どんな逸話由来出自を持つ相手でも「それでいいんだよ」って言い切れる刀だから。一見キツい態度を取る相手でもそれが本心とは限らないこともよく知ってるから。なんだどれだけ大人なんだ君は……しんどい……
浦島のあのざっくりした手紙の内容が今ならすごく良く分かる。表立って言えない話を隠しながらそれに対する素直な気持ちだけ書いてたんだなぁ。
その後極浦島が「しまったー! これ内緒だったんだー!!」って大声でいうのはもうほぼほぼ確信犯だよね。審神者に分かってほしいんだ蜂須賀兄ちゃんのこと。そして出来れば自分以外の新しい理解者になってほしいんだ。修行を終えた浦島にすごく心を開いて信頼して貰えたんだな審神者……
蜂須賀虎徹が初期刀である理由も今回よく分かった気がする。それがどんなにつらい事であろうと絶対に裏切らない、実直で誠実な刀。
そして真贋関係ない彼だけの物語は審神者と一緒に始まる。だから初期刀なんだ。きっと。
本当になんてことしてくれんだ刀剣乱舞。時の政府。ふざけんな本当にありがとう。こんなに「虎徹」を愛してくれてありがとう。