火灯し頃の蜘蛛踊り 未通過だめ
探索者の今後について
オカルト編集長からネットの噂話を聞いて、八肢島?という島の奇妙な信仰について聞いた。この島に来て懐かしさを見つけて。その原因が何かが分かった。
そうか彼女が僕の産みの親だったのだ。
父は島の神主に殺されていたと知った。島の人は狂っていた。
霊石を取って帰れば島民はみんな人間ではなくなってしまうという。
この霊石の近くに居れば島民でも外でも生きることができる。
他の人は助けたい人だけ助けて島の外へと行こうと言う。
それでも、この島の中にも疑問を持ってる人も少しはいて、
その中のひとりに、異父兄弟のひなた君もいて、実の母もいて、
どうせなら島民全員を助けたかった。
自分は、血の繋がってない義父母に大切に育てられて、
グレてたけど更生して真っ当な人間になったはずで、
自分の過ちを後悔しつつも、自分も義父母と同じように、
辛い環境に居る人が戻るのを待つ人間になりたい、この感謝を繋げていきたい。その思いを抱えて生きていた。
狂っていると言っても、人間として超えてはならない線を超えていたとしても
島全員を殺す以外の方法が見つけたかった。
過ちがあったとしても、どうにかして戻す方法があると信じているからだ。
計画を練る中で、それを成し遂げることが無理と分かって、
ひなた君も島の外に出ることを拒んだ。自分が生贄になることを拒んだから、こんな風に島の人が狂ってしまって取り返しのつかないことになったんだと、自分を罰していた。それに皆を残して島の外に出るのも考えられないとも。生きたいけれど、皆を残してなら生きたくないと強く思っていた……
その意見に従うしかなかった。
無理矢理にでも引っ張って行きたかったけれど、難しかった…
お母さんの思いを継いで、ひなた君だけでも生きてほしかった…
=
一緒に島に来た栗原という大学生がいた。
本当はここにある霊石を狙っていた。
屋敷でナイフを振り回して一人を刺して逃げ出したと聞く。
話をして聞いてみると、2000万の借金をしているようだ。明日にでも死ぬと言っていた。違法なことに手を付ける人に目をつけられていて、自分が助かるために、どうにかしてでも霊石を取って借金をちゃらにしたいと聞く。家庭環境を聞いたらどうしようもなかった。まだ20歳だ。どうしたらいいのか悩んだ。
彼女には自分に居たように優しい父や母からの抱擁もきっとなかった。このまま彼女を見捨てて、霊石を奪って、この島から脱出することも出来た。それで本当に自分としての生き方として正しいだろうか?日常に戻ったとして、大事な何かを無くしていないだろうか。義父母への感謝を繋げられているだろうか。
やけくそになって「(栗原君が更生してくれるなら)面倒を見るし、結婚をするから、どうにか霊石だけは奪わないでくれ」と説得をする。承諾される。
この感じの悪い子と結婚するのかゴクリと唾意思を決めていたを飲む。
それでも、何とかしてやる……
どうにかすると意思を決めて島を後にした。
そうしたら船着き場で黒塗りの車が停まっている。
彼女は僕に「これ結婚指輪だから」と言って、
そのまま黒塗りの車に乗せられてどこかへ行ってしまった。
彼女に会うことはもう無いのだと分かった。
どうすることもできなかった。
霊石を彼女に渡せば菅原さんは蜘蛛になってしまって、
だから、彼女の最後の善意にただ頼るだけになってしまった。
あのときにどうしたら良いのか。未だに分からない。
=…………
あのあと、本土に帰って仕事をしばらく休んだ。
心の整理が必要だった。義父母の元へと帰りすべて話をした。
話をしたら驚いていた。
二人なりに理由は分からないなりにも、
真摯に聞いてくれて、それで心が救われた。
何日か分からないけれど、廃人になって時間を過ごしていた。
ただ寝て起きて食べるだけの生活だった。
鏡で自分の顔を見て思った。
ああ人って醜いな…… そう言って泣き崩れた。
でも、こんな風にしていて良いんだろうか。
ひなた君は、実の母さんはどう思うだろうか。
もう会ってない栗原さんは、?
こんなんで良いのか?
それでも生きてかないと駄目だろ。
生きよう。このクソッタレな感情と付き合って生きてやろう。
まずは、秋間さんと菅原さんに会いに行こう。
ずっと飲みに行くって約束してから放っていた。
生きなおさなくては、、、失った分はこれから取り戻していこう。
たとえ取り返せないとしても、増やしていこう。
今ある命に祝福をしよう。そうして生きていくしかない……