平ジェネforever全体感想 長い
アタルがライダーの事を虚構だと思っている時は存在が希薄になり助けてくれないけど、ライダーを信じた瞬間助けてくれるのが、これからもライダーを信じて欲しいという制作陣からのメッセージみたいで泣く
今回出てきたキャラクター達は、アタルの願いによりフータロスが生み出したアタルが思う仮面ライダーのキャラなのだと自分は解釈した。
フータロスが何役やってると思ってんだよ的なこと言ってるし。
いわばアタルの思う一海や幻徳ってこういうキャラだろうなという虚構のキャラクター像な気がする。
フータロスの力でアタルの思うライダー達を生み出してるからこそ、アタルのライダーへの想いによってキャラクター像が強く左右されるのではないだろうか。
周りの市民のライダーへの想いも多少はあるけれど、やっぱりアタルの意識が1番強く影響している気がする。
思えば一海がアタルを助けてくれたシーンは、これから始まる仮面ライダーを楽しみにしているシンゴがそばに居る時だった。
ライダーを信じている人がいれば、仮面ライダー達は助けに来てくれる。事実シンゴがピンチになった時は、戦兎や龍我、ソウゴが助けに来てくれた。
アタルが本心では仮面ライダーが虚構の存在だと、仮面ライダーは助けてくれないと思っているから、アタル1人だけのシーンで虚構の一海はアタルを突き飛ばして逃げたのかもしれない。
周りの人達のライダーを信じる心も多少はあるけれど、やはりアタルの願いが生み出した存在なので、アタルがライダーなんて居ないと、助けてくれないと、失望すればする程虚構のライダー達は存在が希薄になっていったり、ヒーローらしからぬ行動を取ったりする。
そんな中戦兎と龍我はお互いの事を強く信じているからこそ、アタルがライダーを信じなくなったとしても記憶が消えなかったり、存在が消滅するのが比較的他のライダーより遅くなったりしていたら良いなと思った。
2人がお互いに存在証明を行っているから、戦兎は洗脳に引っかかったりしないし、周りが記憶を失っていく中で
記憶を失う描写がないのではないだろうか。
この2人の信頼関係を描く為に、ジオウ1,2話に出てきた戦兎と龍我ではなく、新世界から来た戦兎と龍我を配置してくれたのが本当に有難い。
龍我が一海と幻徳に記憶が戻ったのか!って言った時も話が噛み合わなかったり、ソウゴがおこがましい未来人と言った時も龍我はピンと来ていないようだったし、ソウゴが王様になるといった時も戦兎は知らない様子だったから、新世界からの2人じゃないかなぁと思った。
誰か一人の記憶に残る王様になるってソウゴの今後の展開がすごく楽しみ。
アタルが実際にテレビで見ていたことを描写され、ライダーは虚構なんだと思っていた電王本人に助けられ、ライダーなんか助けてくれないという考えを改めるシーン。
電王ファンへのサービスシーンではあるけれど、アタルにとってもライダーへの考えを改める重要なターニングポイントだったように思える。
平ジェネforeverという作品に記憶こそが時間等、記憶に関する事柄がテーマの電王を絡めてくるのが本当に素晴らしい噛み合い方だなと思う。
そしてアタルが「自分が虚構だって勝手に思い込んでた、ライダーはいつだってそばにいたんだ」というような事を言うと力を取り戻していくライダー達。
先程アタルを突き飛ばした一海や記憶を失っていた幻徳が一般市民達を助けようと、敵の前に立ちはだかる。
そして、襲われていた子供達や、大人達が各々の好きだった仮面ライダーの名前を呼ぶと助けに現れてくれるシーン。
仮面ライダーは子供はもちろん大人達のそばにずっと居るから、これからも仮面ライダーの事を信じ、応援し続けて欲しいという制作陣からのメッセージかもしれないと思うと、この平ジェネforeverをこの瞬間に見る事が出来て本当に良かったと思う。
仮面ライダーはテレビの中の絵空事、ソウゴが「俺達虚構なの?」と聞いたのに対し、「そうかもしれないな」と答える戦兎。虚構でも誰かの記憶に残ってくれればいい、予告のナレーションにあった、あの時仮面ライダーを愛してくれていた人達へ向けた制作陣からのメッセージが詰まった映画だったと思う。
また、山口監督の映像演出も素晴らしいと思った。
電王がザコ敵を倒すシーンで、信号が赤になっている時は敵と見合って、青になった瞬間に攻撃を始める。この演出には思わず感心してしまった。
ジオウとビルドがバイクで駆けて行くシーンでは、応援する一般市民達がバイクの後を追っていて、夏映画で群衆に負の感情で追われていたビルドを思い出すと応援されながら追われるビルドには涙を禁じ得ない。
誰に感謝される訳でもない人知らずの正義のヒーローが、応援される正義のヒーローになったってことが本当に嬉しい。
ライダーキック乱舞の際には、エグゼイドのカットインがしっかり入っていて、平ジェネFinalで不満だった点が解消された気がした。
その他にも細かい演出がその当時のものが詰まっていて、本当にあの日あの時に仮面ライダーを見ていた人に向けた演出が多かった。
電王が登場したシーンもそう、ウォズが地球の本棚に入ったりしたシーンもそう、できる限りその当時の映像に近づけていた。
サブキャラでもオリキャスを揃え、ガワには違う声優は使わずライブラリ音声やオリキャスの声を入れて、なんか昔見たライダーと違うという状況を徹底的に避けていた。
あの日あの時に見た光景を、できる限りそのまま届けようとしてくれた制作陣には、深くお礼を言いたい。
ありがとう平ジェネforever