北谷菜切の破壊台詞を知ったら他の台詞の聞こえ方が180度変わってしんどすぎて頭を抱えた話。
あんな恐ろしい逸話のある刀、彼自身はどうその逸話を捉えてるのかな?っていうのが気になったので、ワクワクして刀帳台詞を
聞きました。
そしたら、いきなり「なーんか怪談じみた伝承があるけど、ないない。あれは作り話だから」
えーーーっ!!びっくりしました。そこをいきなり否定するのか!って。どんなものであれ、逸話に形作られるのが刀剣男士じゃないのか?って。それを最初から否定していいのか?と思いました(まぁ、五虎退も虎を退けてないって言うけど……)。
正直少し拍子抜けしたかな、とも思いました。あの逸話がどう扱われるのか、楽しみにしてた部分もあったので。
しかしまぁ、すぐに「それならそれでいっか!生活に寄り添う刀だもんな!可愛いからオッケーオッケー!」と思い直して、ガンガン出陣して2日でカンストしてもらいました。
「戦い、行かないと、駄目かい?」「命を奪うよりも、家事の方をやらせてよー」
そんなことを言う彼を、「包丁が元なら戦いはあんまり好きじゃないのかな?」くらいに思ってました。
彼の破壊台詞を知るまでは。
↓彼の破壊台詞です。
「これも……見たくないものから目を背けてきた、報いかな……」
絶句。
自身の逸話を、「ないない」「作り話だから」と明るく言い切っていた北谷菜切。
母親が北谷菜切で切る真似をしただけで、幼い我が子の首を切ってしまったという逸話。
私は、破壊台詞を聞いて初めて気づきました。
あの「ないない!」という彼の言葉は、決して、彼が審神者に真実を教えてくれていた、というものではなかったんです。
彼は、それが史実(真実)であろうとなかろうと、自分を形作っている恐ろしい逸話から、目をそらしたかっただけだったんです。
いや、そりゃ考えたくないよね……愛しい我が子の首を落とさせてしまったなんて……。
でも、彼自身がどう捉えたかろうが、刀剣男士はどうしたって、語り継がれてきた自分の逸話に引っ張られるもの。
そう考えると、これまで楽しく聞いていた彼の台詞の聞こえ方が一変しました。
「離れた場所を斬る!?ないない、そんな力あったら、もっと強いって」(本丸台詞)。
ここでも彼は自分の能力を否定しますが、これは、彼が、自分がそんなすごい力を持った刀であることを否定したいということなんですよね。
「いやぁ、不思議な力とか、使えるようにならないよー?」(錬結)も。
「俺にはそんな(大それた恐ろしい)ことはできないよー」と、審神者に、もしくは自分自身に、言い聞かせたいように聞こえました。
実際にできるかできないかはさておき、「俺はそんなことはしたくないんだよー」と。
一番頭を抱えたのが、会心の一撃でした。
「当たれば斬れるよ!当然か!」
不思議なことを言うんだな〜と思ってたけど……
当たれば斬れるのは当然なのに、なぜ彼はわざわざこんなことを言うんだろう?
それは、彼が、「当たってもいないのに斬ってしまった」(と言われている)刀だからですよね。
当たってもいないのに、尊い命を奪ってしまった。
その悲しみが彼の心の中にあるから、言わなくてもいい、当たり前のことを口にしてしまうんですよね。
自分がしてしまった(と言われている)のは、決して当たり前のことじゃなかった。それを彼は自分で揶揄している。
自分の逸話を否定しながらも、本当は深く逸話に引き摺られていることを、彼自身がこの台詞で証明してしまっている。
他にも、隊長台詞では「戦い、行かないと、駄目かい?」
戦いが嫌なのは、単に平和主義だからじゃなくて、自分がとっても恐ろしい力を持っている(と言われている)ことを知っているから。
「血生臭いのは、もう……」嫌だから、あの恐ろしい力を使ってしまうかもと思うと怖いんですね。
真剣必殺の「やめろ!これ以上は抑えられないぞ!」も、自分に大きな力がある(と言われている)ことを自覚していないと出ない台詞。
そう考えると、特に上がった時の「んんー、強くなったのかな? ははは、わっかんないなー」も、内番の「そうそう。こういう仕事がおれには向いてるんだよねー」も、刀装の「こういうのは得意なんだよねー」も、すごくとぼけているというか、自分の力から目をそらしたいんだなというふうに聞こえます。
「いぃやぁ…あんまり、自信ないんだけどねー」(戦闘開始台詞)も。自分の逸話の強さから目をそらした上での謙遜というか。
刀剣乱舞、怖いな……と思いました。
カンストするまで育てたのに、破壊台詞を聞かないとその子のことがわからないというか、聞いてもまだまだわからないというか……。破壊台詞にぶっこんでくるなんて……。
北谷菜切、しんどい……きっと修行は逸話をきちんと見つめる旅に出るんだろうな。
破壊台詞を知らないでいると、「えっその逸話、自分でないない!って言ってたんじゃなかったの!?」ってびっくりしたんでしょうけど……。
大切にしてあげたいです、北谷菜切……。