ボンド受けやおい女とボンド先輩の15年間(NTTDの話ちょっとあり)あーしは06年のカジノロワイヤル冒頭のモノクロシーンで「今度のボンドはまさか…受……?」となり、その後の海シーンで「あっ今度のボンドは受けだ」という宣託を受けた
巫女なので、15年間、マッチョカルチャー総本山としての「ダブルオーセブン、ジェームズ・ボンド」がその意味を維持したまま、テクストを読み取れる者にとってはまごうことなき「受けの男」として輝くのをずっとうちわやペンラを振りながら見つめていました。幸福な15年だった。ダニエル・クレイグ氏演じる6代目ジェームズ・ボンド(以下先輩)は、物心ついてから30年以上をやおいに捧げてきたわたしの目の前に現れた理想の受けを体現していました。先輩はヴィラン相手でも、ボンドガール相手でも、同僚相手でも、この世の森羅万象全てに対して受けであり、それはNTTD冒頭の、Tシャツをしっかり着込んだマドレーヌを前に全裸でベッドにうつ伏せになり子猫ちゃんのように甘えて見せるシークエンスにおいてもしっかり表現されていました。先輩は最後まで受けの007を魅せてくれるのや。あのシーンでその心意気を受け取り、私の頬には熱い涙が流れました。エンドロールを見ながら、15年間先輩が魅せてくれた数々の受け仕草が走馬灯のように頭の中を流れていきました。フィリックスやM(先代。現行Mはボンドに競る受け力があるのでドローゲーム)を相手にしたときの素直な受けっぷり、強め美女が相手のときの誘い受けマゾ感のある受けっぷり、ヴィランやターナー相手への小悪魔ちゃんな受けっぷり、そしてQ相手の転がしてるつもりが転がされているというか相手にされていない受けっぷり……。Qちゃんはおそらく15年ずっと彼氏が途切れていないタイプのモテ系ゲイで、先輩のこともぜんぜん好みのタイプじゃなくて、マジでただの同僚で、でもあのコミュニケーション能力の高いクールなQちゃんが真正面から「本当に、本当に嫌い」と言うくらいには好きだった。Qちゃんちに泊まってるという爆弾発言で無事四散しましたけど、たぶんというか絶対何もしてない。してもらってない。最後くらい抱いてやってくれやと思うけど、Qちゃんはああいうめんどくさいマッチョ野郎は抱かんのですよ。あのディナー用意してた新しい彼ぴっぴもインテリアデザイナーしてるヴィーガンのヒューマンライツ活動家で年齢の近いおしゃれ男子とかだと思う。先輩のほうももうマドレーヌ以外には抱かれない覚悟が出来てた感じだし、それでいいんだ。でも一瞬くらいやれたかも委員会的なことをQちゃんには考えてほしい。はなむけとして……。めくるめくエッチな受け姿と同時に情けないスベり倒した受け姿も一緒に魅せてくれた先輩、ありがとうございました。こんなキャラクターは後にも先にもいねえ。我が人生に咲く大輪の受けです。我愛一生。お疲れ様でした。