★しじまにおかえり
振り返ってもしみじみと思うのですが、「コメント機能」が
「自分自身を責める頭の中の声」として物語と絡んで演出されている仕組み、主人公が感じている苦痛を、プレイヤーも身をもって体感できるのが本当に凄い……。
作中内で何者かが主人公に罵詈雑言を吐きかけるだけなら、その画面内で物事は完結してしまうので、主人公に感情移入できない・またはしなければ直接的なダメージを負うことは少ない。
けれど「酷いことを口々に言うコメント」がプレイヤーの視認する画面内に流れる生配信という形式をとることで、まるで「直接プレイヤーに言っている」ように錯覚できてしまう。
前者の手法だと、「主人公」「プレイヤー」を切り分けて思考する余裕があるので「考え過ぎだろう」「これは幻聴で、現実ではない」と客観的に分析できるのですが、後者の手法では「プレイヤー」に直接ぶん殴ってきてるかんじがするので、自分事として苦痛や屈辱を感じやすくなる。他人事ではなくなり、身をもって体感するので「主人公の悩み」も同時に理解しやすくなる。
メタ認知による精神的ダメージの共有が巧みだ……。
精神的ダメージを与える手腕にばかり目を向けていますが、それとは別にコメントの反応種類も多くて凄かったです。
放置していたら「放置プレイやめろ」と言われたり、謎が解けずぐだぐだしてたら「進みが悪い」と侮辱されるし、セーブを何度もしたら「何回もするな」と怒られるし、流れてきたコメントの嘘の答えをそのまま入力したら「そんなわけないだろ自分で考えろ」と嘲られ、変な場所でアイテムを使ったら「そこじゃない」と指摘される。反応差分のレパートリーが豊富で凄い……。
プレイ中、結構心がバキバキになってましたが、途中で好奇心が勝って「これをしたら反応してくれるかな?」と、あえて間違ったり、侮辱されたりするような選択を選んでました。もっと! もっとだ!!
ほとんど侮蔑的なコメントが多くを占めてたんですが、たまに謎解きを解いたときに「GJ(グッジョブ)」と褒めてくれる反応があったりするので、それもまた生々しい感じがして妙な嬉しさを感じてました。