三国機密36〜37話あたりで、曹丕ちゃんが皇帝の暗殺を謀った(?)り、師匠の王越を殺したりするくだりの感想をもう少し詳しく書きたくて、追記欄で。→
※例によってセリフがよくわからないところもあったり、全体的にざっくり見すぎて過去の話に見落としが多かったりで、間違っているところも多いと思います
曹操による司馬家誅殺をとりやめさせた代償に、劉平は、曹操の烏丸征伐に身分を伏せた参謀の「劉公子」として、皇后伏寿とともに従軍する。またもやお忍び冒険の旅。
車で待機していたところ、雨で倒れたテントを思わず駆けつけて持ち上げて、曹丕も手伝い、心を通わせる、みたいなベタなキラキラ描写も眩しいが、曹丕の陛下に対する心情が謎なのだ。劉平の方は、かつて助け合って旅をしたり、命がけで救われたりして、すっかり純粋に曹丕に友情を感じているらしく、曹操のことは警戒しているものの、息子世代になれば協力していけるとまで思いはじめている。
一方、35話でまた司馬懿にフラれた曹丕は、王越に情報を流し、遠征に密かについてきて、宮中の警備から離れる皇帝に復讐しろと持ちかけていた。こうして従軍中も、合間を縫っては師匠の元で修行も続けており、忙しい子……。
王越は、おまえは前には命がけで皇帝を守ろうとしたくせに、なぜ今度は殺す気になった? と尋ねる。曹丕は、自分の心に満ちる苦痛の原因について考えて続けた結果、自分の希望のためには、皇帝が唯一の障害だと理解したのだと答える。
王越は、なるほど、皇帝が暗殺されれば、曹操に疑いの目が向けられる。おまえは皇帝と父とをともに消して、漁夫の利を得る気なのか。ついに父への感情までも断ち切ったな。いいぞ、いずれおまえは俺より強くなれる! などと賞賛する。しかし曹丕は虚ろな顔で、感情? 私の人生において感情など虚無、幻だ……などと、完全に病みモード。
※王越は、都合良く解釈しているようだが? 曹丕が父を見限ったようには見えない。そもそも、曹操に皇帝暗殺容疑がかかれば一族誅殺で曹丕も巻き込まれるだろうし、たとえ免れようと、曹丕が代わって権力を握れる可能性はないような? 王越は脳筋なので細かいことは考えていないのかもしれないが。そしてここにきて自分の心に満ちる苦痛の原因が皇帝だったとは、司馬懿のせいで……!!
いよいよ王越は、曹丕の手引きで単身、皇帝を夜襲するが、貂蝉(曹操に復讐するため偽名で郭嘉の愛人となったが、今では本気で愛し合うようになっている)や、冷寿光(若い宦官で、仕える伏寿を慕っている。実は華佗の弟子=郭嘉の弟弟子)が庇って代わりに討たれてしまい、失敗。
一旦諦めて逃亡する王越を、曹丕は将兵とともに追う。王越は、誰か文官(この人誰だっけ? ここもしかして重要?;)を人質に取り、追手の攻撃を阻止しようとする。そこに郭嘉も追ってくる。郭嘉に見られていることに気づいた曹丕は、曹氏の掟により人質は救わない、刺客を捕らえろ、と命令し、見捨てられたこの文官は王越に殺される。曹丕は王越と打ち合いながら、今度は自分を人質に取ったフリをさせて逃がそうとする……と見せかけ、不意を突いて王越を刺す。
俺を殺すのか、と驚きながらも王越は、曹丕に剣を突きつけたまま拉致。相打ちで殺そうと思えばできる状況だったが、おまえは今や自分が「王氏剣法」を継承させた唯一の弟子だ、殺すことなどできるか、と告げて剣を下ろす。そして「王氏剣法」を修めた者は、生涯、恐怖と「戾气」から逃れることはできない、これは俺からおまえへの最後の贈り物であり呪いだ、と告げて息を引き取る。
助けに来た曹植が、王越の死体の前に坐り込んで凍り付いている曹丕を発見し、訝るが、曹丕は何も言わずに虚ろな様子で立ち去る。
※その後も曹丕ちゃん、庭に一人で座りこんで剣を抱えて血を流しながら、呪いの言葉を思い起こして怯えて泣いていたり、この道に向いていなさ(?)がすごいんだけど……。そもそもが、生まれながらに背負わされた罪の贖罪みたいな認識で動いた結果、王越の弟子になるか殺されるかの二択に追い込まれて今があるので、望んで進んだ道というわけでもないあたりが、相変わらず救われない。
※果たして曹丕は、本気で王越に皇帝=劉平を暗殺させる気だったのか? 過去には命がけで劉平を助けたが(そのせいで王越の弟子になる羽目になったわけだが)、官渡で司馬懿が自分の誘いを断って故郷に帰ってしまったのを機に、王越に本当の仇は皇帝だと吹き込んだ。(司馬懿のせいで……!)しかしその後もまだ、友情を見せるそぶりもあったのだが、今回の王越の襲撃が最初の段階で成功していた可能性もあるわけで。しかし王越を殺してしまったことで、劉平を殺すことは難しくなった。本気だったのが、途中で気が変わったのだろうか? 内容の理解不足もあり、わからない……。
※そして王越に関しても、最初から殺すつもりはあったのか? 王越には当初から、私に剣を教えて復讐されたらどうする? と聞いたり、隙あらば殺すという態度は見せていたものの、次第に心を通わせているようにも見えた。王越は曹丕の心を理解していたとは言えないけど、父に見捨てられ、母ともすれ違い、司馬懿も振り向いてくれず、孤独の底で自分の存在価値を必死に探し求める曹丕を、唯一認めてくれた人だった。しかし、その相手をついに殺してしまう。
※郭嘉に見られたために、殺したような描き方でもある? この後、郭嘉に王越との関係を指摘された曹丕は、父にバラされると考えて郭嘉にも殺意を抱いているようにも見える? このあたりから曹丕は、秘密を守るために何人も殺していくようになる。
ちなみにこの後、劉平と伏寿は、王越の真の仇が皇帝(劉協)だと知っている者はごく限られている、誰が王越に情報を流したのか? と訝りはじめ、まさか楊修では? と、思わぬところに濡れ衣が。楊修は、当初は父の楊彪に従い、皇帝替え玉計画に協力していたが、元々漢室への忠誠心からという雰囲気ではなかった。その後は、漢室にも曹氏にもつかず、ギャンブラーとして自分の才能を試したい、みたいな独自路線を走っている模様。
※そもそも、曹丕がどこで王越の真の仇が劉協と知ったのかが未だにわからず……見落としているのだと思うが……。