幻の2020JBチームBLACKの東ボブくんについての一考察。彼は天才の自覚があって自信もあるけど、才能や生まれがコンプレックスにもなってる現代っ子のように見えた。あとよくもわるくもめちゃくちゃ素直。
ミュージカル本編未観劇、映画視聴済の新参者による考察という名の(たぶん)思い込み。
まず、観劇前に私は大きな誤解をしていたことから確認する。
想像していたボブくんと全く反対の方向性の東ボブくんの姿に全速力で置いていかれた。
誤解その1
映画のボブくんが優しげで可愛らしく、役を離れたときの東くんに近いものを感じていた(東くんファンの間では雰囲気が似てるね、なんて話題にもなったりした)。
誤解その2
帝劇でいうと、去年のTdVこと「ダンス・オブ・ヴァンパイア」で東くんが演じたアルフレートが信じられないほどに“可愛い”キャラだったから、今回もめちゃくちゃ無邪気でよく笑うボブちゃんになるだろうと思っていた。
だから最初の数日間の配信を見てすごく驚いた。
(ちょっと余談。もちろん初日は本当に色々あったし、私はこの日ほど“Show Must Go On”という、大好きな言葉を呪った日はない。甘えた考えだと言われるだろうけど、あの日は舞台に立ってくれただけでも胸がいっぱいだった。贔屓に対して甘くなりたくないけど、3月からのことを考えるとどうしても寄り添いたくなってしまう。余談終了)
でもその驚きは、劇場で東ボブくんを何度観ても変わることはなかった。
百戦錬磨(初演から皆勤の)矢崎ボブが天才である自覚がそこまでない心優しい青年のボブくんだとすると、まるでそれの鏡(反対)のような東ボブくん。
よく言えば、かっこいい。
悪く言えば、すかした野郎。
オープニングでスポットライトを浴びた時、にこりともしない日もあるし、片方の口の端だけつり上げてにやりと笑う日もある。どちらにしても想定外。
配信で見たときは特にだけど、全然笑わない。どこか冷めた目で色んなものを見てる。
でも、歌うときは本当に楽しそう。
これは事実。
ただ、音が止まるとすぐにポケットに手を突っ込んで、胸を張って無表情で去っていく。
東くんが新キャストなこともあって、フランキーとの絡みはほとんどない。会話はしない。
新トミー右近くんはけっこう絡むし、新ニックの真志くんもフランキーとの会話はないけど、秋から冬へのバトンタッチで向かい合って歌ったりするから、東くんが一番中川フランキーと絡まない。
未知数。キャラクターがつかみにくい。
だから欠片をかき集めて考えていくことになったオタク、大暴走をはじめる。
違和感と解釈①
藤岡トミーとめちゃくちゃ仲の良い東ボブくん
→これはもちろん中の人の関係性もあるとは思う。これは大前提。藤岡さんがBLACKのみならず、JB全体を束ねているコンサートマスターみたいなところがある。座長とは違うけど、中心的存在。もはやトミー。個人的に全力で藤岡トミーにぶん殴られてる。大好き。
ミュージカルにも仲の良い場面はあるんだろうけど(映画だとそんな感じなかった)、映画だとトミーの不手際で捕まってしまったときに「絶許卍卍卍」なボブくんを東くんで容易に想像できた。
ボブくんは彼らより清らかな暮らしをしてきたわけだし、あんなことはあってはならないと思っていそう。
清く生きてきたボブくんからしたら、許せないよね。
その場面がないのもあるのかもしれないけど、それにしても仲良しが溢れてる。
でも考えて思ったのは、東ボブくんは素直だったから藤岡トミーに気に入られたのかもって。
尻尾を振りまくる弟分というよりも、ちょっと生意気だからこそ可愛がられるみたいな。
これは完全な想像だけど、東ボブくんは少し毒舌でずけずけと物事を言うから逆に可愛がられたところがありそうだなって。
そう考えると、終始この二人が仲良しなことにも納得できるなと思った。
違和感と解釈②
仏頂面の多い東ボブくん
→歌ってないときはだいたい仏頂面で、ポケットに手を突っ込んで立っているボブくん。
自分が“特別”であることを自覚しているし、それを誇りに思っている。むしろ才能をもて余してる感もあるから、かなり余裕そうに見える。
それも思春期特有のかっこつけにも見えたりする。感情的になったり、はしゃいだりするのがダサいとか思ってそう。
その一方、本気で“感情”がよくわかってなさそうにも思える。本物の天才。持たざる者や何かを共有する喜びを理解できない。そんな孤独な天才。
前者である場合は、自分自身の才能を誇らしく思う一方、完全に3人に同化できないことにコンプレックスを抱いていそう。だからその反動でああいう一見冷静に見える態度。
後者である場合は、自分の才能を自覚しているけど、特別なこととは思っていない。他者のことは理解ができないしする必要もないって思っていそう。
ここは解釈の余地があるようにも思える。
違和感と解釈③
歌の時に無邪気な笑顔になる東ボブくん
→本当に音楽が大好きなんだと思う。藤田さんの演出ノートにもあったけど、ボブは“音楽を愛していた”って言葉にすごく近いと思う。
モニターを見てる最中も腕を組んで音楽にのったり、ひたすらに音を感じている。音楽の化身。ボブこそ音楽(ミュージック)!(ちがう)
レコーディングとか生き生きとしているし、Sherryの曲振りの「爆発したっ!」とか本当にわくわくしていて見てる方も楽しくなる。
次に繋がるけど、彼が愛しているのは“音楽”であって人ではない。
違和感と解釈④
フランキーとの関係
→すごくドライで損得勘定で動いているように見える。
はじめてフランキーの歌を聞いたとき、品定めをするようにじっと見て「だめだ」って首を振っていらっとした顔を見せる。でもフランキーの高音を聞いた瞬間、驚いた様子で振り返って嬉しそうに笑って「信じられない」とばかりに首を振る。同じ首を振るという動作にも、こんなに意味が違うものかと驚かされた。でも“恋をした”と言うより、“見つけた”感が東ボブくんは強い気がする。
彼の言葉の通り、この声のために曲を作ったのは事実だと思う。自分の創作意欲を掻き立てられる歌声に出会えたから。だから「見つけた」な気がする。
でも、フランキーとの関係があまり見えてこないからすごくドライにも見える。
特に「君の時代だ」に集約されているけれど、東ボブくんはフランキーのことを見ていない。視線はとらえているけど、その頭のなかにはフランキーの歌声しか興味がないような。人としての何かが欠けている(他人を理解できない天才)東ボブくんは、フランキーの悩みなど繊細なところには気がつくことができない。
矢崎ボブがどこまでも天才に無自覚で人をよく見ているタイプだから、その正反対が浮き彫りになる。
本当に怖いことをいうと、東ボブくんはフランキーのことを自分の曲を最高に素晴らしく歌う装置にしか思っていなさそうに見える。
力尽きたのでこのへんにするけど、まとめると
ぼんぼんで自分の才能に気づいているし、他人とわかりあうことができないことを知っている。だけど素直だから音楽は大好きだし、それが彼にとってすべてなんだと思う。
そんな孤独な天才の東ボブくんが大好きです。
あと数日、無事に千秋楽が迎えられますように。
そして、チームBLACKの本公演が観たい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!