(※二次創作、何でも許せる方向け)フリートの続き(?)です
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またも怪盗の予告状 警備会社のパーティが標的に(ざわつく!ネットニュース)
今月■日に創立三十周年を迎える■■シマセキュリティ株式会社。同日開催の記念パーティは悪名高い怪盗ウェスペルの歓心までも引き寄せてしまったようだ。
本日未明に届いた予告状によれば「■■シマセキュリティ株式会社 ご担当者様 日ごろから格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。怪盗ウェスペルでございます。来たる■日のパーティにて『サンクチュアリ』をいただきたく、お手紙を差し上げた次第です。盛大な飾りつけでお迎えください。不悉」(同社提供、原文ママ)とのこと。
■■■・■■■■氏制作の「サンクチュアリ」は、同社社長・■島■■氏が個人的に所有している絵画だ。■島氏は“聖域”の題を冠するこの絵画こそ警備会社に相応しい宝だと誇っており、記念パーティでは社員たちのために展示する予定であったという。
■島氏は取材に対し「パーティも展示も予定通り決行する。警備会社が窃盗犯に怯えて逃げ隠れるなどあり得ない」と堂々と語った。また、名探偵・皋所縁氏を招聘する予定はあるかという記者たちの問いは「探偵など必要ない」と一蹴。「万全の警備に必要なのは推理ではなくシステムと頭数だ」「顧客の皆様にご安心いただくためにも、怪盗はわが社が独力で捕らえる」と強気の姿勢を見せた。
この件について、皋所縁氏にも話を聞くことに成功した。都内の殺人事件を解決したばかりの皋所縁氏は疲れた様子で「一理ある」と小さな呟きを漏らし、■■シマセキュリティの警備会社としての矜持を評価。さらに、探偵は不要という■島氏の発言に対して「ま、ただの探偵は必要ないよな。名探偵が必要だったら呼んでくれれば行くからさ」と疲れの中でも不敵な笑みを見せた。
名探偵と怪盗の対決を拝めないことを残念がるファンの声は大きい。しかし、怪盗ウェスペルの過去の事件の中には■■シマセキュリティの警備が突破された例も複数あり、これはこれで因縁の対決と言えるだろう。創立記念パーティに、怪盗への雪辱という祝いの花を添えられるのか。当日に向け、世間の注目はますます高まっていくと予想される。
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怪盗ウェスペルからの“追伸” ■■シマセキュリティ社員がリーク(ざわつく!ネットニュース)
先だって怪盗ウェスペルより予告状を送付された■■シマセキュリティ株式会社。同社社長・■島氏は取材に対し「社の総力をもって捕らえる」との意気込みを見せていた。しかし、怪盗ウェスペルのほうには何やら言い足りないことがある様子。同社は公にしていないが、予告状の「二通目」が届いたとのリークがあった。
同社社員N氏によると、本日の午後三時頃、本社ビル社長室の机の上に突然「二通目」が出現したという。セキュリティシステムでは不審者を検知できておらず、手紙を置いた犯人は未だに判明していない。
N氏は内容の全てを読んではいないそうだが、手紙には「本当に名探偵を呼ばなくていいんですか?」「悪戯じゃありませんよ、本物の怪盗ウェスペルですよ」というような文章があったという。
この件について同社広報に問い合わせたが、事実を確認中であるとの返答しか得られなかった。N氏は「社長は怒り狂っている。当日の警備を更に厳重にすると言っていた」「正直、皋所縁さんを呼んでほしい。本社ビルにまで侵入されて矜持も何もない。潔く外部の力に頼って危機管理意識をアピールするべきだ」と社長の意向に苦言を呈した。
名探偵・皋所縁氏にも取材を試みたが、連絡を取ることが叶わなかった。事務所の留守番電話によると、電波の届かない場所へ出張をしているそうだ。■■シマセキュリティが依頼を決心したとき、連絡が間に合うと良いのだが……。
ともあれ、大胆にも社長室の机に予告状を追加した怪盗ウェスペル。その目的は不明だが、■■シマセキュリティを挑発する意図が多分にあることは間違いない。二通目を受けて厳しくなった警備を、怪盗ウェスペルは超えられるのか。それとも自らの首を絞めることになるのか。火花を散らす対決から目が離せない。
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怪盗ウェスペルご乱心? ■■シマセキュリティに完全勝利(ざわつく!ネットニュース)
怪盗ウェスペルの犯行予告を受けていた■■シマセキュリティ株式会社の創立三十周年記念パーティ。同社社長・■島氏の宣言通り予定に一切の変更はなく、昨日■日に開催された。しかし、怪盗を捕まえるという宣言を守ることはできなかったようだ。
パーティが盛り上がりを見せる最中、突如として会場の照明が落ちる。社員らは暗闇に戸惑いつつも、慌てず懐中電灯などで対応。落ち着いて指示の放送を待ち、耳を澄ましていたところ、会場内にありとあらゆる警報が大音量で響き渡ったという。
騒音の攻撃で会場はにわかに混乱。照明は復旧したものの、色とりどりの煙幕が会場中に炊かれ、視界も半ば奪われていたそうだ。煙が晴れ混乱が収まる頃には、会場の壁に飾ってあった「サンクチュアリ」は姿を消していた。この騒音と煙幕の中、社員らの数名は怪盗ウェスペルに声をかけられたと話す。
社員A氏は上司の姿をした怪盗ウェスペルを目撃したと証言。怪盗ウェスペルは卓上のプチケーキを皿に盛りつつ「どうして所縁くんを呼んでくれなかったんですか? せっかく都内で探したのに!」と文句をつけてきたという。愛妻家のA氏は「私に言われても、という感じ。九歳の娘の八つ当たりを受けているようだった。上司の声で言われるのは気味が悪かった」と語った。
また社員B氏は、パーティコンパニオンの姿をした怪盗ウェスペルに話しかけられたと証言。「三十周年おめでとうございます」と花束を渡され「御社の歴史が末永く続きますように! こちらの稼業が捗りますから」と痛烈な嫌味を浴びせられたそうだ。さらに怪盗ウェスペルは渡した花束に名刺サイズのカードを差し込み、「ひょっとしてご存知ないのかもしれませんから、一枚お裾分けします。次回があればお役立てください」と言い捨てて去る。カードは名探偵・皋所縁氏の探偵事務所の名刺であった。
取材を受けた名探偵・皋所縁氏は「あのアホに名刺なんか渡した覚えはねーよ」と呆れた顔を見せた。しかし、過去に配ったものが怪盗の手に渡っていたとしても不思議ではないという。同情的に■■シマセキュリティを気遣うコメントを寄せつつ「怪盗の紹介だろうと(依頼は)受けるさ。名探偵が要るならな」と肩をすくめた。
■■シマセキュリティを徹底的に嘲るような今回の事件を受け、警察関係者は「怪盗ウェスペルの正体は■■シマセキュリティへの私怨を持つ人間ではないか」と語った。同社役員らに捜査への協力を呼びかけている。
また、怪盗ウェスペルが一つの事件で二つ以上の変装姿を見せるのは今回が初めて。“お色直し”をするほどの余裕があったと見るべきか、都市伝説的に囁かれているようにグループでの犯行と判断するべきか、世論でも意見が割れているようだ。
なお、予告状の「二通目」送付からゆるやかに下がっていた■■シマセキュリティの株価は怪盗への敗北を受けて急落。同社広報も顧客および株主への対応に追われているらしく、社長のコメントは得られなかった。
やはり、怪盗ウェスペルの宿命のライバルと呼べるのは名探偵・皋所縁氏だけなのだろうか? もしもあなたが次の標的になったなら、皋所縁氏の探偵事務所に即座に連絡するべきだろう。ひょっとしたら怪盗ウェスペルが予告状に名刺を同封してくれるかもしれない。
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