11月25日(土)、ムケイチョウコク『漂流する万華鏡』に登場人物「は」として参加した時の感想的なアレコレです。ネタバレ、記憶違い、解釈違い等ご容赦ください。
#漂流万華鏡
#ムケイチョウコク
10月14日に参加した直後に追加公演の情報が発表され、これは行かなくちゃ!と思って予約した登場人物チケット。この日の配役は「工藤はるき」でした。
工藤はるきは、糸山蓮一朗の妻である糸山花枝の付き人で彼女をとても大切に思っており、彼女を傷つけないために華道教室の運営がうまくいってないことや彼女の作品への評価が下がっていることを隠しています。
先週黒子で参加した際に主に1階にいたため、そのときの記憶にある動きや会話もありましたが、やはりやってみるといろいろ違うインパクトがありました。
主にやり取りがあったのは、もちろん美しき華道家 糸山花枝役の水口早香さんです。
別の役で参加したときの花枝さんの印象は、強いと言うよりむしろキツいという感じでしたが、実際に向き合っていくうちに彼女の本当に求めているものがなんなのか伝わってきたような気がします。
「もう嘘はつかないで」と花枝さんが工藤に言う場面があります。
彼女を傷つけないためについてきたいくつもの嘘。花枝は明るい口調でそれを繰り返させます。「来月の教室の生徒は順調に集まってるんでしょ?」「この前の展覧会の評価も良かったのよね?」「海外進出もできるかしら?」
私はこちらを見つめる花枝先生の眼を見つめ返し、ひとつひとつ答えます。「はい、集まってます」「とても好評でした」「ええきっと海外でも高い評価を得られるでしょう」
しかし言葉を交わすうちに先生の目が潤んできたのです。そして静かに涙が溢れてきます。
(ああ!この人は私の嘘に気づいてたんだ)
真正面から私の目を見つめる先生の美しかったこと!
もう嘘はつかない、と私は先生に誓いました。
しかし……。
私は先生に隠していることがありました。
さきほど親族間の話し合いのために皆さんが2階のサロンへ移動し、私だけが1階に残っていたとき、2階から手探りで辺りにつかまりながら降りてきた少女のことです。
少女は、2階のアトリエに連れ帰って欲しい、と私にすがりました。私は彼女の手を取り2階へ(幸いサロンの入口は閉じていました)。
奥のほの暗いアトリエで彼女は透子と名乗り、もう少しここにいて欲しいと私の手を離しません。
何、何なのこの可憐な生き物は!
ぎこちなく交わす会話の中で白いユリの花について語り、どこかあなたに似ている気がするとつい口説き文句のようなことを言ってしまいました。
不安そうな彼女の様子と蓮一朗の名に対して、反射的に「ご病気とか……」と言ってから、ハッとして「いえ詳しくは存じませんが」などと誤魔化したりもしました。
「私がここにいることは誰にも言わないで」と遠子に約束させられて、「どこにいってたの」と尋ねた先生にも嘘をつきました。
でも。
私小説家の小説が読み上げられ、こんなことあるはずはない、小説なのだから作り話でしかないと主張する花枝先生が、私に同意を求めました。
透子とは秘密にすると約束しました。でも先生にもう嘘はつかない、と誓ったばかりです。遠子との約束より先生との誓いの方が私には重く感じられました。
ためらいながらも、2階から降りてきた遠子にあって、アトリエに送り届けたことを口にしました。
そこにいた人々の注目が集まり、悟朗さんに「それは本当ですか?」と聞かれました。私は頷くしかありません。
先生は動揺し鏡を手にして叩きつけようとしました。それを止められて崩れ落ちるように床に座り込んでしまいました。
ああ、この人は本当はずっと旦那様を愛していたのだ、と思い、胸がギュッとなりました。奔放でわがままに見えた花枝先生は、きっと確かな愛を探していたのでしょう。見返りを求めない本当の愛情を。
……いや長いな。まだまだいろいろあったんだけど。手渡された怪文書とか、先生から預かった書類の精巧さとか、目撃した中庭での逢瀬とか。
とはいえたぶんキリがないのでこの辺りにしておきたいと思います。
最後に、歓談タイムで、大谷真白役の方(たいへんお世話になりました!)や滝沢絹役の方との感想戦がとても楽しかったことや、キャストの方々に写真を撮らせていただいたことなども、この夜の大切な思い出となりました。
キャスト・スタッフの皆様、この夜参加された皆様、本当にありがとうございました。
心からの感謝を!